希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

強力な磁石の種類について

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磁石には磁力が強いものや弱いものがあります。製品などに用いるときは磁力の強弱で使い分けられることも珍しくありません。そのため、製品の用途や特性に応じた磁力を持つ磁石の種類を選ぶこともできるのです。今回は、強力な磁力を持つ磁石の種類などについて紹介します。

 

■磁石の強さはガウスとテスラであらわされる

磁石の強さを数値化するときには2つの単位が用いられます。1つはガウス(G)、もう1つはテスラ(T)です。ガウスは科学者の間で確立したCGS単位系の磁束密度を指します。テスラは国際単位系であるSI単位系の磁束密度を示したものです。これら2つの単位を比較したとき、10,000G(10kG)は1T(1,000mT)と同等となります。ちなみに磁石の表面の磁力または磁石を使用した各製品の磁力の目安は、以下のようになっています。

 

・地磁気 0.3G~0.5G=300mG~500mG=30μT~50μT

・磁気ネックレス およそ1300G=130mT

・アルニコ磁石 およそ2500G=250mT

・ネオジム磁石 およそ5000G=500mT

・MRI およそ10000G~15000G=1T~1.5T

・超電導磁場を利用した素粒子研究所の加速器 およそ38T~45T

 

■強力な永久磁石とは

数ある磁石の種類の中で、一定の磁力を保つものを永久磁石と呼びます。特に希土類元素(レアアース)を使用した磁石は、磁力が非常に強いタイプです。そのため、工業製品から日用品にまで広く用いられます。希土類元素を使用した磁石は、主にネオジム磁石とサマリウムコバルト磁石の2種類があげられます。ここではそれぞれの特徴について紹介します。

 

・ネオジム磁石

ネオジム磁石とは、ネオジムを主な原料として鉄やボロンを混合した素材で作られた磁石です。ネオジムはランタノイドに分類される金属で希土類元素として扱われます。ネオジム磁石は優れた磁力の強さが特徴です。その力は直径数cmの大きさでも10kgの耐重量があり、日常的に使用されているフェライト磁石に比べて8倍近くとなっています。硬度に優れている一方で、腐食には弱い欠点があります。また、温度による変性が起きやすいことも注意が必要です。小型でも強力な磁力を発揮するため、工業製品から服飾雑貨まで幅広い用途があります。

 

・サマリウムコバルト磁石

サマリウムコバルト磁石は、希土類元素でランタノイドの一種でもあるサマリウムに、コバルトを加えて製造したものです。磁力はネオジム磁石には及ばないものの、高温でも変性や磁力が低下しにくい特徴があります。一般的に磁石は一定の温度(キュリー温度)を超えると磁力を失います。サマリウムコバルト磁石のキュリー温度は、およそ700℃~800℃です。高温でも問題なく動作することから、工業用製品やモーター、センサーなどを中心に高い温度の使用を想定した製品に適しています。

 

■サイズや形によって強さが異なる

磁力はサイズや形、接合面積などによって性質が大きく異なります。同じ接合面積でも高さがある方がより強力であり、磁束密度も高い傾向です。シートのような薄い形状でも接合面積がある程度確保されるのであれば、強い吸着力を得ることができます。吸着力と磁束密度はそれぞれ数値化することが可能で、数値として磁力が算出できます。必要な吸着力が決まっているのであれば、接合面積と高さの積から適したものを選ぶとよいでしょう。また、限られた面積でより強力な磁力を求めるなら、できるだけ高さがある形状を選ぶことがおすすめです。

 

■強力な磁石は取り扱いに注意が必要

・高い磁力が原因で磁石の破損や製品に不都合が生じる場合がある

磁力が強いと他の磁石や鉄製品などに吸着した場合に、コーティングがはがれることや、磁石原料の粉が飛散することがあります。また強力な磁石同士で吸着すると、人によっては引き離すことができなくなることもあるようです。磁石同士が吸着して離れなくなった場合は、両方をスライドさせるようにして引き離すと外れやすくなります。

 

また、スマホや磁気を使用したカードや磁気テープに磁石を近づけた場合、記録されている内容が破損することがあります。破損したデータは、元に戻すことができないので注意が必要です。アナログ時計に近づけると時間が狂いやすくなるため、精密機器には磁石を近づけないことが求められます。

 

・命に係わる事故につながる恐れもある

強い磁力を持つ磁石は、時として命に関わる危険な事故を引き起こす可能性があります。心臓のペースメーカーは磁力の影響を受けやすい電子医療機器です。磁石が原因で機器が正常に動作しなくなり、命を落とす危険性も考えられます。また、小さな子供が磁石を誤って飲み込んだ際に、複数の磁石が腸壁を挟んで損傷するケースもあるようです。放置すると内臓機能が失われて命に関わる問題へと発展します。大事には至らなくても取り除く際に開腹手術が必要なため、体には大きな負担がかかるでしょう。

 

■電磁石でも強力な磁石が作れる

工業製品や電化製品などに磁石を使用する際、電磁石を用いるケースも多くあります。電磁石であればコイルの巻き数や鉄心を変更することで、強力な磁力を得ることが可能です。しかし、電磁石の体積や重量が大きくなってしまい、実用としてはあまり向いていません。そのため電流量を大きくすることが重要となります。電流量を増やして強力な電磁石を作るには、電線の許容温度と電流量の最適値を求めることが大切です。

 

強力な磁石はさまざまな製品に用いられています。実際に永久磁石を使用するときには、吸着力や接合面積から磁力を求めることで、最適なものを選ぶことが可能です。また、電化製品に用いる場合は永久磁石ではなく電磁石を強力にすることで、用途に合わせた磁力を得ることができます。