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超強力!ネオジム磁石の磁力が強いのはなぜ?

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現存する磁石の中でも、最も強力とされているネオジム磁石。なぜ磁力が強いのか疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。ここでは、ネオジム磁石が持つ磁力理由や取り扱いにおける注意点を併せてご紹介します。

 

■世界一強力なネオジム磁石の磁力

ネオジム磁石とは、ネオジムや鉄、ホウ素を主な原料としてとしてつくられた磁石です。数ある磁石の中でも、特に磁力の強い磁石と呼ばれています。

 

その強さは、鉄の酸化物を主成分としたフェライト磁石の10倍とされています。わずか直径1~2cm程度の小さいネオジム磁石でも、5~10kgの吸着力があります。5~10kgの重さは大体鉄アレイと同じくらいの重さです。近年ではフェライト磁石に変わって一般家庭でも用いられています。

 

■磁力の強さの仕組み

・強力な磁石は高い「磁気異方性」と「飽和磁化」を持つ

磁力が高い磁石には、共通した特徴があります。それは一定の方向に磁化しやすい「磁気異方性」と一定値で磁化が飽和する「飽和磁化」の高さの2つです。この特徴はどちらか片方だけ強くても、それほど強力な磁石にはなりません。

 

磁石が持つことのできる最大エネルギーの上限は、飽和磁化の2乗に比例します。しかし磁気異方性が小さい磁石では、高い保磁力を得ることができないため、強い磁石が作れません。ネオジム磁石には、両方の特徴が備わっています。

 

・磁気異方性

磁性体の中には無数の結晶が存在しており、それぞれ異なる磁気的性質が特徴です。結晶磁気異方性は、磁化しやすい方向としにくい方向があります。磁化しやすい方向が一方向だけの場合、「一軸結晶磁気異方性」と呼びます。この性質を持った磁石は磁力が強く高性能です。

 

また、別方向への磁化には非常に大きなエネルギーが必要となるため、一軸結晶磁気異方性の磁石は一方向に保ったまま固定されます。そのためネオジム磁石は磁力が強くなります。

 

・飽和磁化

磁性体に外部磁場をかけて磁化を行う際、磁場が強くなるほど磁化も増加していきます。しかし磁場がある値に達すると、それ以上磁場をかけてもほとんど磁化しなくなり一定となります。この値のことを「飽和磁化」と呼びます。

 

飽和磁化の値は磁性体によって異なり、強力な磁石を作るためにはなるべく高い飽和磁化の磁性体を使用する必要があります。ネオジム磁石は高い飽和磁化を持っており、磁気エネルギー積が大きいことが特徴です。

 

■ネオジム磁石のリスク

小さくても超強力な磁力を発揮するネオジム磁石は、もともとハイブリットカーのモーターなど工業分野で広く使われてきました。近年では市場に広く普及したことで、壁掛けフックやマグネットボールといった一般家庭用品でも多く見かけるようになりました。ここではネオジム磁石の持つ使用上の注意について紹介します。

 

・誤飲による事故

ネオジム磁石は小型の製品が多いため、子供や動物が誤飲してしまう可能性があります。もしも飲みこんでしまうとその強力な磁力により、体内で磁石同士が吸着して事故に繋がる恐れもあるでしょう。

 

実際に、幼児が飲みこんだ磁石が腸内に留まり、腸壁を間に挟んだ状態でくっついてそのまま貫通してしまったというケースがあります。そのため、子供の手には届かないところに保管しておくことが望ましいです。

 

・ペースメーカー等の誤作動

電子機器は、ネオジム磁石の強い磁気によって誤作動を起こす可能性があります。体内植込型医療用電子機器であるペースメーカーの場合、正常に作動しなくなることでめまいや動悸、失神などが起こる危険性があります。命の危機が伴うため、ペースメーカーを使っている人はネオジム磁石を扱わないようにしましょう。身体に近づけることもおすすめできません。

 

また携帯電話や磁気カード、フロッピーディスクといった電子機器に近づけた場合、磁気の書き換えや誤作動によりデータが消えてしまうリスクがあります。こうした機器に対しては、特に注意が必要です。

 

・けが

ネオジム磁石は小型でありながら手のひらや指を間に入れてもくっつくほど強い磁石です。そのため挟まれるとけがや事故を起こすことがあります。勢いよく磁石が吸着する際に皮膚や指を挟んでけがをすることは珍しくありません。また吸着の衝撃で磁石自体が欠け、破片が飛び散って目に入る危険性もあります。そのような事故を防ぐためには、防護手袋や防護メガネで身を守り、適切に取り扱いましょう。

 

■正しい取り扱い方

1.小さいサイズで使う

大きくなるほどネオジム磁石の取り扱いは困難になります。工業用などで製造する際は、安全性を考慮して適切なサイズで最大のパフォーマンスを発揮できるように注意してください。

 

2.小さいまま使わない

小さいサイズでも十分なネオジム磁石は、誤飲やけがを防ぐための工夫が必要です。大きな部品に組み込むことで誤飲やけがのリスクが防げます。また、壁への取り付けやカバーをかけるといった対策も行いましょう。

 

3.適切な使用環境で

ネオジム磁石は高温に弱く、錆びやすい特徴があります。そのため汎用材質の場合はできるだけ50℃以下の室温で使用し、雨や水蒸気があたらないように保管してください。

 

4.取り外したい時は

むやみに引っ張るのではなく、平行にスライドさせてください。縦に引っ張るよりも比較的弱い力で外すことができます。