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リニアモーターカーに使われる磁石の原理

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磁石のお話-画像017001

電車や新幹線からさらに進んだ乗り物として登場したリニアモーターカーですが、どのような仕組みで動くのか気になる人も多いのではないでしょうか。磁石によって空中に浮かんだり、進んだりするリニアモーターカーの原理について解説します。

■リニアモーターカーの仕組み

・どうやって浮くのか

リニアモーターカーは、地上から約10cmも浮いている状態で走っています。なぜこのような巨体が浮き上がるのかと言うと、それは磁石同士が引き合ったり反発したりする力を利用しているからです。

 

リニアモーターカーの底面には、超電導磁石という強力な磁石がずらりと並んでいます。また、レールとなるガイドウェイの壁にも電磁石のコイルがついていて、壁の上部ではコイルと超電導磁石が引き合うため車体が持ち上がります。さらに、コイルの下部と底面の超電導磁石が反発することにより、車体を浮かせているのです。つまり磁石の力で上から引っ張り、下から押し上げているわけです。

 

・どのようにして進むのか

浮いた車体が進むことにも、やはり磁石の力が利用されています。電磁石は電気を流す向きによって、N極とS極を切り換えることが可能です。そのため、まずガイドウェイの壁についている電磁石のうち、車体の前方にある電磁石の極を車体と反対にします。すると異なる極は引き合うため、車体についている磁石と電磁石が引き合い、車体が前に進みます。進んだら電流の向きを変えて、電磁石の極を車体と同じにすると、今度は反発するため、反発した車体が前へと押し出されるのです。

 

ここでもやはり、電磁石を切り換え続けることで、車体を前方に引っ張り、後方から車体を押すという、引力と斥力両方を使った仕組みになっています。

 

・ブレーキの方法

浮く原理と進む原理がわかったところで、次に気になるのはブレーキではないでしょうか。リニアモーターカーは電車と違って車輪がないため、車輪の摩擦で止まるというようなことはできません。そこで利用されるのが、回生ブレーキと呼ばれるものです。ブレーキをかけたい時は、リニアモーターカーが進むために使用されている電気を、今度は逆向きに流します。すると、それは抵抗となり、車体の速度を落とすことができるのです。

 

ちなみに、基本は回生ブレーキを使用します。しかし、万一の事故などやむを得ない場合は、空気ブレーキや、ディスクブレーキ、接地ブレーキなど他のブレーキが使用されることもあります。

 

・レールの仕組み

リニアモーターカーにおいては、電車で言うところの線路に当たる部分をガイドウェイと呼びます。このガイドウェイは上部が開いた箱型、つまり底面と側面の壁で構成されているのが特徴です。電車のように車輪を転がすための線がない代わりに、壁にはコイルがついています。このコイルに電流を流すことで電磁石にした上で、車体についた磁石とお互いに作用させているのです。

 

このガイドウェイがあるからこそ、車体は浮き、また走ることができます。また、車輪がなくガイドウェイと車体は直接接触しないため、リニアモーターカーは電車のような騒音がしないというメリットも持っています。

 

■リニアモーターカーに使用される超電導磁石とは

・電気抵抗のない強力な磁石

リニアモーターカーの底面についている超電導磁石とは、いったいどのようなものなのでしょうか。この超電導磁石の特徴は、「電気抵抗がない」という点です。電気が流れる時に抵抗があると、伝導体は発熱してしまい、電気を流すためのエネルギーが熱として逃げてしまいます。しかし、電気抵抗がない「超電導」の状態になると、抵抗がない分熱が発生せず、従ってエネルギーロスもなくなるのです。

 

抵抗がある状態では車体を浮かせるのに莫大な電力が必要となりますが、超電導磁石を用いることで効率的に電気を流し、巨大な車体でも安定して浮かせることができます。

 

・使用の際には冷却が必要

超電導磁石はニオブチタン合金などの特殊な金属を、冷却することで作られます。合金を冷却していくと、一定の温度になったところで突然電気抵抗がゼロになるのです。液体ヘリウムや液体窒素を使って、冷却機で-196℃~-269℃まで冷却する方法が一般的です。

 

超電導状態を維持するためには、常にこの温度を保っていなければなりません。仮に温度が上がってしまった場合、電気抵抗が生まれるため車体を浮かせるだけの磁力もなくなってしまいます。そのため、リニアモーターカーに取り付けられている超電導磁石は液体ヘリウムの入った容器やシールド、真空状態などによって厳重に守られ冷却され続けているのです。

 

■リニアモーターカーをつくってみよう

実は100円ショップなどで揃えられる材料で、リニアモーターカーを自作することができます。まずレールの部分を用意します。下敷きを細長く切ってテープで貼り合わせ、レールとしましょう。レールの両脇の長いラインに沿って、下敷きの両ふちにアルミテープを貼り付けます。

 

次にレールと同じ大きさに切った木材に磁石をずらりと同じ向きで2個重ねた状態で並べ、下敷きの方と貼り合わせましょう。このアルミテープの部分に電池を直列で繋ぎ、レールの上にアルミホイルを取り付けたスポンジやペットボトルなどを置くと、電池の力で車体に見立てたスポンジやペットボトルが進んでいくのです。夏休みの自由研究などにもおすすめの工作です。

 

■まとめ

リニアモーターカーは、磁石の引き寄せ合う力と反発し合う力を利用して浮いたり、進んだりしています。車体に使われるのは超電導磁石と呼ばれる特殊かつ強力な電磁石です。この超電導磁石によって、車体を浮かせて進むだけのエネルギーを確保しているのです。原理さえわかれば、リニアモーターカーの仕組みを家庭で再現することもできます。仕組みを理解しておくことで、よりリニアモーターカーに乗るのが楽しくなるのではないでしょうか。