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磁石がもつ磁気と電気との違いについて

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磁石が持つ磁気と、よく似ていると言われるのが電気です。しかし、ものを引きつける磁石と、ものを動かしたり部屋を照らしたりする電気では性質が違うようにも思えます。いったい磁気と電気はどこに共通点があり、どこが違うのでしょうか。解説します。

■磁気と電気の特徴

・磁気が持つ特徴

磁気と電気はそれぞれ全く異なるものです。しかし、お互いに作用し合うこともあり、切っても切り離せない関係にあります。まずは、磁気と電気が持つそれぞれの特徴を見てみましょう。まず、磁気は磁石が持つ力です。磁石にはN極とS極が存在します。異なる極同士は引きつけ合い、同じ極同士では必ず反発するようになっています。

 

また、1つの磁石にはN極とS極の両方が必ずあるのも特徴です。仮に1つの磁石を中央から半分に割った場合でも、N極とS極の両方を持つ磁石が2つ出来上がることになります。分子レベルまで小さくしたとしても、反対に地球レベルまで大きくしたとしてもこの性質はなくならず、サイズに関わらず磁石は必ず一方にN極、もう一方にS極を持ちます。

 

・電気がもつ特徴

一方、電気は「電子の流れ」によって生み出される力です。電気のことを電荷とも呼びます。物質のもとである原子には、実はこの電荷が密接に関わっているのです。原子は、中央に原子核があり、その周囲を電子が回るという構成でできています。原子核の中にある陽子は正の電荷を持っていて、原子核の周囲を回る電子は負の電荷を持っているのが特徴です。この電子の一部は自由電子といって、原子核の周りを動き回ることができます。この移動の際に、電子の量が偏って発生するのが電気です。

 

実は正負の電荷はそれぞれ磁気におけるN極とS極に相当し、磁気と同様、同じ電荷同士は反発し、違う電荷同士は引き合います。この作用を利用して、普段は電荷のない状態を保っていますが、摩擦など力が加えられると電子が移動してしまいます。すると、電子が多くなれば負に、電子が少なくなれば正に帯電するのです。

 

■両者は関係性が深い

・電流によって磁気は発生する

電気と磁気は似たような特徴を持っているだけでなく、お互いに密接に影響を及ぼします。その1つが、「電流の磁気作用」と呼ばれるものです。電流の磁気作用とは、導線に電流が流れる時、同時にその電流が流れている周囲に磁場が発生することを指します。

 

1820年に、エルステッドという科学者が実験を行っていた際、電流を流している最中に、近くの方位磁石が反応したことから発見されました。この報告は大きく世界を揺るがし、これをきっかけにコイルを使った電磁石や、永久磁石など、電気と磁気を合わせた発明が次々と誕生していくことになります。

 

・磁気はコイルによって電気を作ることが可能

電流によって磁気が発生するだけでなく、磁気によっても電気が発生します。例えば、コイルに磁石を近づけたり、遠ざけたりすると、コイルの両端において電気が発生します。磁石の周囲には磁力線がありますから、磁石をコイルに何度も近づけたり遠ざけたりすると、必然的にコイルの中を磁力線が通ることになります。コイルの中の磁場が磁力線の移動によって変化することで、電流が生まれるのです。

 

ちなみに、磁石あるいはコイルのどちらかを動かし続けなければ、磁場が変化しないので電気が流れません。このような磁気によって電気を作ることを電磁誘導と呼び、様々なところで利用されています。

 

・地磁気は電磁誘導が関係しているといわれる

方位磁石の原理としても知られているのが地磁気です。「地球は1つの大きな磁石」という話を耳にしたことがある人も多いことでしょう。地球が磁気を帯びるのは、地球の内部にあるマントルの、さらに中にある核に秘密があります。この核の中にはたくさんの金属が溶けており、地球の自転などによって絶えず動いているため、電磁誘導が起きるのです。このような理由から、地球そのものは磁気を帯びています。

 

・電磁波は電場と磁場によるもの

電磁波も、電気と磁気の関係によって生み出されているものです。電気が発生する場所には電場が、磁気が発生する場所には磁場が生まれます。そして、この電場と磁場を合わせたものを、電磁場と呼びます。

 

また、電場において電流が流れると、同時に磁場が生まれることになります。この時、電場と磁場に流れるエネルギーの変化によってできるのが電磁波です。電磁場において電気と磁気が変化していくと、それぞれが波のようにぶつかり合います。周波数が高くなるにつれてその力も強くなり、お互いの影響力を高めてさらに広がっていくのです。これが電磁波の正体になります。

 

■電気は分離できるが磁気はできない

磁気と電気について、最も大きな違いは、それぞれの極についてです。ご存じの通り電気には+と-があり、磁気にはN極とS極があります。そして、電気の場合は電気が+の陽子と-の電子でできていることから、+だけの電気、-だけの電気に分離することが可能です。しかし、一方で磁石のN極とS極は分子サイズになってもN極とS極を持つため、分離させることができません。

 

残念ながら、このようないわゆる「磁気単極子」あるいは「磁気モノポール」と呼ばれる存在は、探されてはいるものの、2018年時点でも全く発見できていないのが現状です。

 

・小さな磁石なら家にあるものでも遮断できる

家庭用のマグネットなど、小さな磁石であれば発する磁気もそれほど強いものではありません。そのため、家にある他のものを利用すれば簡単に磁気を遮断することができます。身近なところでは、お菓子の箱などがよいでしょう。例えば、ブリキの缶がおすすめです。このような磁性体でできた箱の中に磁石を入れて蓋をしめた後、箱の外から磁石にクリップなどを近づけると、磁力が遮断されるためくっつきません。

 

■まとめ

磁石も電気も、N極とS極、+と-に分かれており、同じものは反発し合い、違うものは引きつけ合うという性質を持っています。また、磁気によって電気が、電気によって磁気が生まれるという相互の関係も持っていることも特徴です。磁気と電気の最大の違いは、N極だけ、+だけというように分離できるか否かになります。よく似ている磁気と電気について、理解を深めていきましょう。