リサイクルの観点からごみの分別が全国的に厳しくなっている傾向にある中、磁石の処分方法に悩んでいる人も多いのではないでしょうか。磁石は乾電池などと同様、そのまま捨ててしまうと、事故のもとになることがあります。適切な処分方法を知っておきましょう。
■実際に処分する方法
・基本は不燃ごみとして処分する
磁石を捨てる時に真っ先に悩むのが、その分別ではないでしょうか。磁石は単体であれば、基本的に燃えないごみの扱いで処理します。小さいものであっても、燃えるごみで捨ててはいけません。また、ごみ袋に入りきらないような巨大な磁石の場合は粗大ごみとして処理することができます。
磁石は様々な鉱石を原料にして作られています。そのため、燃えるごみとして処理してしまうと環境汚染の原因になってしまうことがあるのです。また、リサイクルできる可能性もなくなってしまいます。磁石は資源にもなり得るものです。地球環境を大切にするためにも、適切に分別しましょう。
・製品に含まれている場合は分別する
処分時に頭を悩ませやすいケースの一つが、磁石そのものを捨てるのではなく、磁石が含まれている製品を捨てる場合です。もし、製品を分解して磁石の部分だけ取り出せるようであれば、そこだけ取り出して磁石を燃えないごみとして、その他の部分はその素材に従って分別するのが最もよい方法です。
しかし、製品内に内蔵されていて容易に取り出せないこともあれば、原材料の一部として磁気を含んでおり、そもそも分けられないこともあるでしょう。そのような場合は燃えないごみでよく、無理に分ける必要はありません。ちなみに、家庭でよく出るごみである、クレジットカードなど磁気を含んでいるカードは例外的に燃えるごみとして処理することが可能です。
・自治体によってルールが異なる場合がある
全国的に見れば磁石は燃えないごみでの処分が一般的です。しかし、自治体によって危険物扱いだったりするケースや、専用の区分があったりすることもあり、かなり差があります。処分に悩む場合や、お住まいの自治体が特に分別に厳しい場合は念のため、問い合わせる方が安心です。
■磁石は正しい方法で処分しよう
・そのまま捨てないように注意
分別だけでなく、捨て方にも実は注意する必要があります。磁石をそのままごみ袋の中に投げ入れてしまうと、思わぬ事故に繋がる可能性もあるのです。例えば、磁石を複数破棄した結果、磁石がごみ回収車のタンク内にくっついてしまった例があります。
また、磁石が他の危険なごみを吸いよせてしまい、回収したごみを処理する際に作業員を怪我させてしまう可能性もあります。捨てる際は紙などで分厚く包むなどして、磁石の力を弱めておくとよいでしょう。
・場合によっては脱磁が必要になる
小さな磁石を1つ2つ捨てる場合は、厚めに包む程度で問題ありません。ですが、大量に破棄するとなると話が違います。大量の磁石や、巨大な磁石をまとめて捨てると、やはり事故を引き起こす可能性も高まってしまいます。適切な処理をしてから、破棄するようにしましょう。
磁石の力を消す脱磁器が市販あるいはレンタル等で入手できます。また、鉄の箱の中に磁石を入れると、磁石の力をある程度遮断することが可能です。家庭であれば、ブリキなどの素材でできたお菓子の缶などを使うとよいでしょう。
・ネオジム磁石は取り扱いに注意
注意しておきたいのが磁石の中でも、ネオジム磁石と呼ばれるものを捨てる場合です。ネオジム磁石は特に強力な磁力を持っているため、近くに反応するものがあると一瞬で吸いよせてしまいます。そして、磁力によって勢いよくくっついた時、ネオジム磁石はその衝撃で粉々になってしまうことがあるのです。実は、粉々になったネオジム磁石は発火しやすいという性質を持っています。そのため、ネオジム磁石が粉々にならないよう、あらかじめ対策しておくことは注意しなければならない点の一つと言えるでしょう。他のものと混ざらないよう、紙などに包んで破棄する方法がおすすめです。
■再利用するケースも増えている
・業者による回収も方法の一つ
捨てるだけではなく、磁石はリサイクルすることもできます。特に、近年強力な磁石として主流になってきたネオジム磁石は、レアアースの一種であるネオジムと鉄、ホウ素を主としてできているものです。そのため、レアアースを目当てに回収業者が磁石や、磁石を使った製品を回収してくれるケースが増えてきました。
回収業者によってどんな磁石を回収してくれるかは異なるため、業者を探して問い合わせてみるとよいでしょう。ちなみに、冷蔵庫やエアコン、洗濯機などは家電リサイクル法によって自然とリサイクルに回されていますが、これらの製品にもレアアースを使った磁石が含まれています。レアアースの回収やリサイクルの需要は伸びてきているので、今後も磁石の回収は普及していくでしょう。
・磁石の再利用方法
企業の広告がプリントされたマグネットシートなど、家庭では気がつくと大量に集まっていることもしばしばです。あまり数が増えると使い道にも、処分方法にも悩むのではないでしょうか。そんな時おすすめなのが、このマグネットシートをリメイクする方法です。
広告の入ったマグネットシートはぬるま湯に長時間つけておくと、広告だけが綺麗に剥がれるようになります。広告を剥がしてシートだけにしたら、シートにお気に入りのステッカーを貼り付け、ステッカーの形に沿ってシートを切り抜きましょう。ステッカーは一度貼ったら剥がせませんが、マグネットにしてしまえば貼るも剥がすも自由自在です。マグネットシートの場合にはこのような再利用方法もあるので、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
■まとめ
磁石はそのまま捨てると他の金属と引き合い、思わぬ事故を引き起こすことがあります。また、レアアースを含んでいることもあり、貴重な資源としてリサイクルすることも可能です。磁石を処分する際は場合によっては磁気を遮断してから、燃えないごみなど自治体の指示に従って出すようにしましょう。また、自宅で再利用することもできるため、何か使い道がないかどうか、一度考えてみるのもよいのではないでしょうか。