ネオジム磁石は、最も広く用いられている希土類磁石の一種で、市販されている永久磁石の中では最も強力な磁石の1つです。
ネオジム磁石は私たちの生活で頻繁に見かけるものではありませんが、実際には生活のあらゆる場面でネオジム磁石は活用されています。
今回は、ネオジム磁石の代表的な使用例を家庭で使われているものと、産業用途で使われているものに分けて解説していきます。
■家庭で使われるネオジム磁石:5つの代表例
家庭で使われるネオジム磁石の代表例として、以下5つを紹介します。
家電製品のモータ
スマホ・オーディオ機器
文房具
マグネットフック
ハンドバッグ
家電製品のモーター
家電製品を動かすのに必要不可欠となるのがモーターです。
パソコン、冷蔵庫、エアコン、扇風機、洗濯機、温水洗浄便座など、電気で動く家電製品のほとんどにモータが使われています。
モーターは、電磁石とネオジム磁石の組み合わせによって、電気エネルギーを運動エネルギー(主に回転運動のエネルギー)に変換できるようになっています。
ネオジム磁石を使うことで、モーターの省電力化、軽量化、小型化などに役立つのです。
モーターという意味では、家庭用とに限定されず、電気自動車、風力発電機などの産業用途で使われるモーターでも、ネオジム磁石は幅広く活躍しています。
スマホ・オーディオ機器
スマホやオーディオ機器にもネオジム磁石は使われています。
スマホやオーディオ機器に搭載されているスピーカーは電気信号を音響信号に変換する装置で、通電コイルとネオジム磁石を使って、モーターと同じ要領で電気エネルギーを運動エネルギーに変換します。
変換された運動エネルギーによって、周囲の空気の圧力を変化させ、それが音となって聞こえてくるのです。
マイクロホンや、ヘッドホンなども同じ仕組みで電気信号を音響信号に変えています。そのほか、スマホの振動発生モーターにもネオジム磁石が使われています。
文房具
家庭で使うマグネットにもネオジム磁石は使われています。
たとえば、冷蔵庫に書類を固定するための磁石がその代表例です。
ネオジム磁石を使うと、冷蔵庫などの鉄製金属壁に20枚以上のA4用紙を挟めます。
マグネットフック
キッチンや玄関などで物を引っ掛けるために使うマグネットフックにもネオジム磁石が使われています。
ネオジム磁石の吸着力なら、フックに重みのあるものを引っ掛けても簡単に落ちてこないので、小物を整理整頓するのに便利です。
ハンドバッグ
ハンドバッグの止め具に使われる磁石でも、ネオジム磁石が使われます。
ネオジム磁石は吸着力が高いので、革や布の内側に固定して外から見えないように使用することも可能です。
■産業用途で使われるネオジム磁石:7つの代表例
産業用途のネオジム磁石の代表例として、以下7つを紹介します。
NC工作機械
MRI
エレベーター
リニアモーターカー
マイクロ波通信
ABS(アンチロックブレーキシステム)センサ
HV、EV
NC工作機械
コンピューター制御される工作機械や工作ロボットの回転モーターやリニアモーターにネオジム磁石が使われています。
省電力で精密制御にも優れているために、無人化工場での導入が大幅に増加しています。
MRI
MRIとは、磁気共鳴画像法のことで、3次元の詳細な解剖学的な画像を作成できる非侵襲的な画像技術です。
人体を傷つけることなく、人体内部の状態を鮮明に確認できるので、病気の発見や診断、治療のモニタリングなどでよく使用されています。
MRIでは、まず大きな磁場を発生させ、人体内の陽子を磁場の方向に配列させます。そして、高周波を人体に照射し、その際に放出されるエネルギーをセンサが検知することで、
体内を詳細に画像化できるのです。小型のMRI装置には、ネオジム磁石が、大型のMRI装置には超電導磁石が使用されています。
エレベーター
エレベーターには、モーターのほかに、停止検知センサに磁石が使われています。
エレベーターは、利用階に停止すると、利用階の床面の位置に合わせて止まるようになっています。
一見、当たり前に見えるこの動作は、停止位置を正しく検知できるセンサが内蔵されているからで、そのセンサに用いられているのがネオジム磁石です。
リニアモーターカー
リニアモーターカーは、超電導を使った電磁石(超電導磁石)とコイルによって動いているものと、強力なネオジム磁石とコイルの組み合わせで動いているものがあります。
車両側の磁石は、N極とS極が交互に配置されていて、地上のコイルに電流を流して極同士の引き合う力と反発する力を交互に作用させることで、リニアモーターカーが前に進めるようになっています。
マイクロ波通信
ネオジム磁石は、マイクロ派通信にも用いられています。
マイクロ波とは、1~100GHzくらいまでの電波のことで,この周波数帯を用いた無線通信をマイクロ波通信と呼んでいます。
マイクロ波通信は、広帯域の信号を安定に伝送できる特徴があり、レーダー技術、衛星通信、遠隔テレメトリなどに広く使用されている技術です。
ABS (アンチロックブレーキングシステム) センサ
ABSは、自動車が急ブレーキをかけたときに、タイヤをロックさせずに、運転手が操縦可能な状態を保つためのシステムです。
ABSには、ネオジム磁石を銅コイルに巻き付けたものをセンサとして使用しています。自動車には、ABS以外にもドアロック、ワイパー、シートベルトの装着表示等、さまざまな場所で磁石が使われています。
磁石のおかげで、より安全性の高い車を実現できているのです。
HV、EV
HV(ハイブリッドカー)やEV(電気自動車)の駆動用モーターや発電機のローターの中にネオジム磁石が埋め込まれています。
ネオジム磁石の強力な磁力により、バッテリーの電力を効率よく駆動エネルギーに替えることができるため、現在、ほとんどのHVやEVがネオジム磁石のモーター・発電機を採用しています。
ネオジム磁石を検討されている方へ
ネオジム磁石は、強力な永久磁石が必要とされる現代技術において、アルニコ磁石やフェライト磁石に代わって広く利用されるようになりました。
今回挙げた事例以外にも、電子タバコの点火スイッチ、コードレス工具、カメラのオートフォーカスのアクチュエータなど、私たちが日常で触れる多くのもので活用されています。
ネオジム磁石のプロ「ネオマグ」では、お客様のご要望に応じて多数のネオジム磁石を用意しています。
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