希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

ネオジム磁石のすべて(5)<製造工程-4>

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ネオジム磁石は年々高性能化してきています。また同時に製品の品質も向上しながら、高いレベルで安定化してきています。このように、バラツキの少ない高性能ネオジム磁石を製品として送り出すためには、厳格な品質管理と最先端の検査装置、分析装置、磁気測定装置が必要となります。

今回は、ネオジム磁石の製造工程中の製品の評価・検査について、どのような目的でどのような装置が使われているかをお話してみたいと思います。

 

<ネオジム磁石の工程/製品の評価・検査(1)>

◆原料・合金の分析機器

ネオジム磁石の品質管理のためには、各種分析装置が重要な役目を負っています。例えば、

(1)原料納入時の原料金属の組成、不純物

(2)溶解・合金化後の溶解後合金の組成、不純物

(3)焼結・熱処理後の焼結体

などを以下のような装置を使用して分析・検査します。

 

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◆粒度分布測定装置

近年、ネオジム磁石の製造工程では低酸素化技術が導入され、特に合金粉砕工程では合金粉体をさらに微細化できることが可能となり、その結果、焼結体の結晶粒も微細化して、ジスプロシウム(Dy)の含有量を減少させながら保磁力Hcjを向上することが可能となりました。

その微粉砕工程を管理するのは、先項の酸素分析装置や次図の粒度分布測定装置です。

 

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◆めっき膜評価・環境試験装置

製品のめっき膜厚の管理には蛍光X線膜厚計などを使用します。その後、めっきなどの表面処理の評価として、恒温恒湿試験機プレッシャークッカーテスト(PCT)試験機などを使い、製品の環境試験として温度や湿度に対する「耐候加速テスト」を行います。

 

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◆ネオジム磁石の各種耐候加速試験

ネオジム磁石は錆びやすい性質を持っているため、ニッケルめっきなどの防錆のための表面処理をしていますが、その表面処理の性能を短い時間で検査・評価するのが耐候加速試験です。

次に、代表的な加速試験をあげてみました。

(1)恒温恒湿試験

温度60℃、湿度90%、1000時間

温度85℃、湿度85%、250時間 など

(2)プレッシャークッカーテスト(PCT)

温度120℃、圧力2気圧(0.2MPa)、100%Rh(Room humidity)、24時間が標準的な条件。

(3)フェロキシル試験

フェロキシル試薬を用いて、めっきのピンホールやキズを確認する試験。

(4)温度湿度サイクル試験(特別必要な場合)

温度-30℃~50℃、湿度0%~90%、48サイクル など

(5)塩水サイクル試験(特別苛酷な環境の場合)

試験規格:JIS C 60068-2-52の場合

塩水噴霧時:温度((室温+5℃)~35 ℃)、5%塩水  → 数時間

湿度試験時:温度(40±2 ℃)、相対湿度(93%) → 数時間

乾燥試験時:温度((室温+10℃)~70℃)、ほぼ外気温度 → 数時間

 

<ネオジム磁石の工程/製品の評価・検査(2)>

◆ネオジム磁石の着磁

磁石を磁化するための着磁工程には、「着磁電源」「着磁コイル」が必要です。短時間で効率よく着磁する場合は「コンデンサーパルス着磁器」を使います。永久磁石を飽和まで磁化させることを「フル着磁」と言いますが、そのための強い磁力が必要なパルス着磁は、ある一定以上のパワーが必要となります。

この着磁エネルギーは、E= (1/2)CV2(J)となり、パルス着磁器のパワーは印加する電圧とコンデンサーの容量によって決まります。電圧は、「パルスの高さ」、コンデンサー容量は「パルスの幅」、つまり時間を左右します。

ネオジム磁石の着磁電源には、通常、電圧1500(V)、コンデンサー容量2000(μF) 以上の性能が必要となります。この中で、電圧はもちろんですが、コンデンサー容量が少ないと、大きな磁石を着磁する場合や複数の磁石を同時に着磁する場合にフル着磁できず、磁石性能が不十分であったり、のちに減磁したりする不具合が起こりやすくなります。

 

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◆ネオジム磁石の着磁パターン

ネオジム磁石の着磁方式、着磁パターンには様々な種類があります。次図はネオジム磁石の代表的な着磁パターンですが、これらは、着磁電源、着磁コイル、着磁ヨークを使った様々な磁気回路によって使い分けられます。

 

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