永久磁石の磁束密度B(P)の近似計算式について
当社では公表されている一般的な近似式を、実際の基準磁石の測定値をもとに(詳細測定法は
こちら)、アレンジ変形してより精度を高めて使用していますが、この式はノウハウともいえるもので公開はご容赦いただいています。
極小磁石の磁束密度B(P)近似計算の問題
テスラメーターのホール素子の磁場検出部分は保護のため、0.45mmほどプルーブ表面から中に入っています。したがって、テスラメーターの測定値は磁石表面から約0.45mm離れた位置の磁束密度を測定していることになります。このために、直径や一辺が数ミリ以下の極小磁石の表面磁束密度は0.45mmの影響が大きくあらわれ、実際よりも小さい値で検出されます。弊社の近似計算では、実際の測定値になるべく近づけるよう計算式をアレンジしていますので、ホール素子と同様、測定面から0.45mmの距離を加えて計算しています。このように、極小磁石での計算結果についてはテスラメーターと同様に論理的な結果になりませんのでご注意いただきたいと存じます。
極小磁石のより正確な磁束密度を計算する方法
極小磁石では前項の理由で、テスラメーターの指示値も本近似計算も実際の磁束密度からの誤差が大きくなりますが、この誤差をなくすためには、“磁石面からの測定距離X1またはX2から0.45mmをマイナスしてください。”例えば、表面磁束密度の場合は0ではなく、-0.45を入力すると上記の誤差が解消します。但し、-0.45以上のマイナスの数値を入力しますと、エラー計算になってしまいますからご注意ください。
ヨーク付磁石の近似計算について
ヨークがついた場合は、簡易的に磁石の磁化方向高さを2倍にして計算しています。
永久磁石の吸引力(吸着力)計算について
吸引力はB(P)の二乗および吸引面の面積に比例しますので、実測した弊社標準永久磁石の形状、B(P)、吸引力から必要な磁石のB(P)の二乗、面積を比較して算出しています。但し、本欄の吸引力(吸着力)の近似計算では、磁石と鉄板または磁石同士の距離が離れるにしたがって、計算結果と実測値の誤差が大きくなります。大抵の場合は、計算結果の方が大きな値となります(およそ、100%〜50%)。これは、距離が離れるにつれ、磁石の中心軸上の磁束密度より端部軸上の磁束密度が小さくなるためと考えられます。磁石の形状の相異等により、この誤差の大きさは異なってきますが、本欄の近似計算では精度に限界がありますので、ある程度の実測値とのかい離はご容赦願います。
対向する2個の永久磁石の吸引力の考え方について
磁気回路3、4、5、のように2個の磁石が対向する場合の吸引力は、磁石同士が対向する距離の1/2の距離における1個の磁石と鉄板との吸引力にほぼ等しくなります。これは、磁石と強磁性体の磁気的状態における電気影像の原理によるものです。但し、本計算ではこの条件下では磁石同士の吸引力の方が若干強くなる計算設定になっています。
なお、磁石と鉄板および磁石同士が吸着した状態(距離=0)では両者の吸着力はほぼ等しくなります。
極小磁石の吸引力(吸着力)について
極小磁石の磁束密度が近似計算では実際より小さい値になることについては、前項で述べましたが、吸着力、吸引力については、この誤差を修正して計算しています。したがって-0.45mmの修正の必要はございませんのでご注意ください。
計算精度について
おおよその目安として、計算結果の数値については次のようにお考えください。
○磁束密度計算
円柱型(厚み方向):誤差±15%以内、角型:誤差±15%以内、リング型(中心軸上、極面上ともに):誤差±20%以内。
C型(厚み方向):誤差±20%以内。ボール型:誤差±30%以内。
(注1)円柱型、リング型、C型の径方向着磁については計算誤差が大きく、目安・参考値程度にお考えください。
(注2)C型径方向着磁の内径側の磁束密度計算はできかねますので、ご了解ください。
○吸引力(吸着力)計算
十分厚く且つ平滑なSS41等の軟鉄への吸引力を基準にしていますので、計算結果は実際の測定値より高めになる傾向(実測値は小さくなる傾向)があります。したがって、一般的な鉄材の場合は、実際は計算値より低く考えてください。さらに、鉄板または磁石同士の距離がゼロの場合より、離れている場合の方が、誤差が大きくなります。距離が距離ゼロの場合誤差±30%以内。距離が離れている場合の誤差±50%以内。
○ヨーク(鉄板)厚み計算
ヨークの飽和磁束密度を1.5Tとして簡易計算しています。各磁石形状の磁束密度計算を基にしていますので、磁束密度計算の誤差よりさらに誤差は大きいとお考えください。
○パーミアンス係数計算
各形状共に、誤差±20%以内