保磁力(Coercive Force)(Coercivity)、Hcb、Hcj
「永久磁石の、磁化された方向と反対方向の磁場に対する抵抗力を表す。この値が大きいほど逆磁場に強く、温度の上昇に対しても熱減磁(不可逆減磁)しにくくなる。」
保磁力"Hcb"はB-H減磁曲線上で磁束密度がゼロに対応する磁場の強さ。言い換えれば、印加された外部磁場と永久磁石の磁化が合成される磁気回路全体の磁化がゼロになる磁場の強さを示す。つまり、逆磁場が印加されている磁気回路全体の抵抗力を示している。下図、青色の磁化曲線上のHcbの値であり、SI単位では[A/m]、CGS単位では[Oe](エルステッド)である。
保磁力"Hcj"はJ-H減磁曲線上で磁気分極(磁化)がゼロになる磁場の強さ。”固有保磁力”あるいは”真性保磁力”ともいう。Hcbが印加された磁場との合成磁化がゼロになる磁場を示すのと異なり、Hcjは永久磁石そのものの磁化がゼロになる印加磁場の強さを示し、永久磁石の逆磁場に対する真の抵抗力を表すことになる。下図、赤色の磁化曲線上のHcjの値であり、SI単位では[A/m]、CGS単位では[Oe](エルステッド)である。