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磁石・磁気の用語辞典(用語解説)
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【磁気レンズ】

磁気レンズ(Magnetic Lens)

「電子線を磁場によって集束させる装置。光線を凸レンズで集束することと似ているので,磁気レンズという。円筒形のコイルを鉄板でおおい、一部の細隙によって生じる磁場を用いるが、永久磁石を利用することもある。コイルの中心軸に沿って入射した粒子は磁場内で螺旋を描いて進み,角周波数 ω=eB/Mc ( e は粒子の電荷,M は質量,B は磁場の磁束密度,c は光速度) が進行方向に垂直な速度成分によらず一定になる性質を応用したもので,集束性がよく,電子顕微鏡などに使われている。」

<コイルの磁界で電子線を収束する> *TDK(株)「じしゃく忍法帳」より

 光学顕微鏡ではいくら倍率を高めても、数100nm(ナノメートル)が分解能の限界となる。これはレンズの性能によるものではなく、可視光の波長が380〜800nmであることが原因である。 

 よく知られているように、電子は粒子であるとともに波としての性質をもつ。そこで、光の波のかわりに電子の波を利用したのが電子顕微鏡である。 

 磁界中を運動する電子にはローレンツ力が作用して軌道が曲げられる。この現象を応用して19世紀末にはブラウン管が発明され、1920年代には通信技 術と結びつけてテレビの研究も世界的に進められた。ちょうどそのころ、光を陰極線(電子線)に置き換えれば、電子レンズが可能になることがドイツの ブッシュによって理論的に指摘された。 

 電子顕微鏡には磁界型という電子レンズが使われる。これは簡単にいうと電流を流したドーナツ型のコイルである。磁界に平行して進入する電子は直進するが、磁界に直交する電子は円軌道をとり、斜めに進入する電子はらせん軌道をとる。しかし、単にコイルの中に電子線を通しただけでは、電子線は収束させることができない。 

 そこで考えられたのが、コイル全体を軟鉄製のヨークで覆い、コイル内部にカメラの絞りのようなポールピースを設けた構造の電子レンズ。コイルが発生した 磁束はポールピースの先端に集まるように工夫されているので、電子銃から照射された電子ビームは細く絞られ、ある距離で焦点を結ぶことになる。この電 子レンズを2段に据えて、初の電子顕微鏡を発明したのはドイツのルスカで、1940年前後には分解能5〜10nmの実用的な電子顕微鏡も販売されるようになった。