ボイスコイルモータ(VCM)
「HDD用VCMは高速回転するディスク上のトラック/セクターと呼ばれている場所に、瞬時にヘッドを動かして読み書きするための駆動用可動コイル型リニアモータである。」
強力なネオジム磁石が登場してから、ヘッド技術の進歩と相まってHDDの小型・高性能化に大きく貢献している。原理はスピーカーと同様で、磁石の作る磁界の中にコイルを組み込んだヘッドアームを入れ、そのコイルに制御電流を流して、フレミングの左手の法則でヘッドを動かす。そして制御された位置で磁気ヘッドが、ディスクへのデジタル磁気信号の読み出しや書き込みを行う。
下図のピボットを中心にヘッドは一定の幅で弧(アーク)運動をする。記録密度が年々上昇し、ディスク1枚(1プラッター)当り1TB(1000GB)を超える製品も出現している。PC搭載の2.5インチ以下のHDDはディスク1枚、ヘッド1個〜2個(両面)、VCM1個が主流である。なお、磁気ヘッドとディスクの間はヘッドが高速で動くため空隙が必要であるが、記録密度を上げるために最小限の空隙にコントロールされている。その距離はnm(ナノメータ)のレベルで、実にジャンボ機が地上1mmで飛行していると同じことになる。