フントの法則(規則)(Hund’s Rules)
1925年ドイツの物理学者フリードリッヒ・フントが実験による経験則フントの法則を発表した。
「原子の電子配置において、同じエネルギーの軌道に電子が配置する場合には,許される限りスピンを平行にして異なる軌道に入る」という規則である。
具体的には例えばMnは3d軌道に5個の電子が配置されるが、それらは磁気量子数が異なりスピン量子数が同じ状態に配置されるということである。パウリの排他原理により、平行スピンの電子は同じ軌道に入ることが出来ないため、電子同士が接近して存在する確率が低くなる。 従って、フントの規則を満たす電子配置ではクーロン力による位置エネルギーが小さくなる。しかし、遷移金属酸化物などでは 配位子場により軌道の縮退が解けているため、スピンを反平行にして同じ軌道に入った方が位置エネルギーが小さくなる場合がある。ただし、この場合は軌道の縮退が解けているために、フントの規則を破っていることにはならない。