ハイブリッド磁石(Hybrid Magnet)
「複数の異なる磁石材料を圧縮成形や射出成形で一体化して、ひとつの磁石にしたもの。」
それぞれの材料の長所を引き出すことができるが、工程が複雑になり易い。
例えば、住友金属鉱山では, Sm-Fe-N粉とフェライト粉とのハイブリッド射出成形磁石を報告している。Sm-Fe-N磁石粉とフェライト粉の粉末粒度が近いことから均一混合しやすいことや,どちらも異方性磁石粉であるため成形時に磁界を印加して結晶の配向を揃えることが可能であり,等方性の磁石粉をフェライトと混合する場合に比べて少ない希土類磁石粉で高特性が実現できることなどのためコストパフォーマンスに優れていることが分かってきた。最大エネルギー積が20〜50kJ/m3の領域、すなわちフェライト焼結磁石またはそれよりやや高い領域に対応するものである。これは,部品・機器メーカの磁石内製化を可能にすることを狙ったものである。別途MQPとフェライト粉とのハイブリッド磁石も報告されてはいるが、MQPは等方性でBrが低いため,異方性のSm-Fe-N粉を使う場合に比べて希土類磁石粉含有率か高くなり,コストメリットは小さい。Sm-Fe-N粉とフェライト粉のHcjの温度係数α(Hcj)はそれぞれ符号か異なるため,温度係数が-0.31%/KとなりSm-Fe-N粉単独の場合よりも小さくなる.また,フェライト磁石に特徴的な低温減磁も起こらず,かつ高温減磁も小さくなるという有利な特徴もある.現在,フェライト焼結磁石の応用領域でも使われ始めている。