MR流体(Magneto Rheological Fluid)
「MR流体は磁性流体の一種であるが、純鉄の粒子が磁性流体より大きく、純鉄の含有量も多い。そのために、MR流体は比較的弱い磁場でも粘度が大幅に増加し、永久磁石に吸着されるとほとんど固体のように見える。MR流体は強磁性金属微粒子を媒体となる液体中に高濃度で分散させたスラリーで、外部磁場により磁化された粒子同士が強く引きつけ合うことで高粘度になる。磁場により粘度をコントロールできるということから動力伝達、振動の吸収など様々な応用が考えられていて、代表的な応用製品としてはMRダンパーがある。」
MR流体に磁場を与えると硬化し、粘度が大幅に増加する。一方磁性流体は硬化しない。むしろ磁性流体は硬化すると回転軸のトルクが上昇して(回転させるのにさらに力が必要になり)使えなくなる。
MR流体に磁場を与えると成分である純鉄の粒子が鎖状のクラスターを形成し(粒子が数珠状に並ぶ事)、このために硬化し、粘度が上昇する。
MR流体の純鉄の粒子が磁性流体の粒子より100~1000倍大きいこと、MR流体の純鉄の濃度も磁性流体よりもかなり高いこと、MR流体の飽和磁化が600mTと非常に大きいことによる(MFA-08で78mT)。これらの理由でクラスター(粒子が数珠状になったもの)をより強固に結びつけ、MR流体は硬化する。
このクラスターを引きちぎる為の応力を降伏せん断応力と言う。また、この様にMR流体は粘度が上昇する事を利用しているため、低い粘度が求められる磁性流体とは異なるといえる。