熱減磁(Thermal Demagnetization)
「着磁済みの磁石は周囲の温度が変化すると、熱エネルギーの関係で磁気特性が変化する。この熱による磁力の低下を総称して熱減磁と呼ぶ。」
次のように種々の熱減磁がある。
元の温度に戻ると磁気特性も同じ値に戻る変化を、可逆温度変化といい、温度が戻っても磁気特性が戻らない変化を不可逆温度変化と呼ぶ。ネオジム磁石、フェライト磁石共に温度が上昇すると可逆温度係数にしたがって飽和磁束密度Jr、残留磁束密度Brは減少する。一方、ネオジム磁石のHcj、Hcbは温度が上昇すると減少し、フェライト磁石のHcj、Hcbは温度が低下すると減少する。
可逆温度変化(可逆減磁)、不可逆温度変化(不可逆減磁)については、特にHcjの温度係数に注意する必要がある。また、磁石形状によるパーミアンス係数も重要なファクターになるので、事項の内容を十分理解した上で、磁石の選定、磁気回路の設計を行う必要がある。