希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

磁石・磁気の用語辞典(用語解説)
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【ネオジム磁石】

ネオジム磁石(Neodymium Magnet)、Nd-Fe-B磁石、ネオジムボンド磁石(Neodymium Bonded Magnet)

「希土類(レアアース)金属のネオジム(Nd)と鉄(Fe)を主成分とした、現在最も強力な永久磁石である。“焼結磁石”と“ボンド磁石”の2種類があり、各種モータ、音響機器、医療機器、センサーなど幅広い分野で使用されていて、年々生産量が拡大している。」

ネオジム(Nd)と鉄(Fe)の化合物が永久磁石材料として有望であることは、その飽和磁化Isの大きさから、希土類磁石が注目され始めた当初より予測されていたが、その保磁力を実用的な大きさで、安定に出現させることが研究者、技術者の大きなテーマであった。そして1983年、このテーマに挑んだ2つの大きな発明がほぼ同時期に発表された。

(1)高速急冷法(メルトスピニング法)によるネオジム磁石

アメリカ・GM社のクロート等は、Nd-Fe-B化合物の溶湯を回転しているロール上で急冷して薄帯にすると微細な組織になり、その組織が大きな保磁力Hcjを生んで高性能な永久磁石材料となることを見出し、その製法を確立した。その後材料粉および磁石の生産はMQI社に引き継がれ、特にMQパウダーと呼ばれている製品が現在HDDのモータに大量に使用されているネオジムボンド磁石の主材料となっている。また、熱間圧縮・圧延による異方性磁石としても製品化されている。

(2)粉末焼結法によるネオジム磁石

住友特殊金属(現在の日立金属株式会社NEOMAXカンパニー)の佐川博士等はGM社とは別に粉末焼結法によるNd-Fe-B磁石を発表し、そのエネルギー積・(BH)maxが35MGOeを超え、2-17系Sm-Co磁石を大きく上回る数値であったため産業界各方面から大きな注目を浴びた。この磁石は大きな残留磁束密度Brと共に、微粉末の焼結と熱処理により微細な複合組織を形成させて磁化の反転を抑え、高保磁力Hcjを可能にした。その後各社参入して高性能化・高品質化の競争によってさらに改良され、現在では50MGOeを越える製品も安定して製造されている。同時に、当初欠点といわれていた錆び易い性質や温度特性の問題等も、種々の新技術の導入によって大幅に改善されてきている。

<ネオジム磁石の生産量と用途>

ネオジム磁石の生産量は年毎に急激な上昇を続けていて、焼結製品だけでも世界規模では既に2012年に世界で6万トン以上になっていると言われている。中でも中国の生産量増加は著しく、全体の50%以上を占めるまでになっている。またその用途も全産業に渡っていて、コンピュータのディスクドライブモータ、ハイブリッドカー、音響機器、携帯電話、NC工作機、MRI断層撮影装置、風力発電機、エアコン、洗濯機等々、小型のセンサーから大型モータまでさまざまな用途が開発されてきた。

近年、特に注目されるのは、小型高性能化用途以外に“省資源・省エネルギー・環境対策”用途が増加していることである。その強力な磁界磁束を有効に活用することで、無駄なエネルギー使用を減らし、有害な排出物を抑制し、且つさまざまな動力源の騒音を最小限にするためにネオジム磁石が改めて注目されている。ハイブリッドカーはその代表的な用途であるが、省エネタイプのエアコン、冷蔵庫のコンプレッサーや洗濯機のモータもネオジム磁石の主要な用途になってきている。また、風力発電の発電機や湖沼・河川の水の浄化装置にも使われ始めている。