量子数(Quantum Number)
「量子力学において、ある量子状態を指定する数のこと。」
系を量子力学的に解く場合、得られるエネルギー固有値(以下、固有値)は連続ではなくとびとびの値となり、それぞれに適当な番号付けが行われる。普通、最もエネルギーの低い固有値をゼロ番目として、エネルギーの低いものから順に高いものに向かって番号付けしていくことが多い。
ボーア等は、原子核を取り巻く電子の状態に、複数の電子の軌道、すなわち電子のエネルギー準位にK殻、L殻、M殻、N殻、O殻、・・・という名称を付け、また副殻としてs、p、d、f・・・という名称を与えていたが、同1925年オーストリアのヴォルフガング・パウリはこれに主量子数、方位量子数、軌道磁気量子数、スピン磁気量子数という4つの量子数の考察を加え、さらに”1つの原子軌道に属する2つの電子は電子の量子状態を決める4つの量子数の全部を共通には持ちえない”というパウリの排他律を発表し、電子の配置を完成させた。
量子数、電子軌道、電子数には次のような関係がある。
・主量子数 n(Principal Quantum Number)
n=1,2,3,・・・・・・
・方位量子数 l(軌道角運動量量子数、Azimuthal Quantum Number )
l=0,1,2,・・・・,n-1
・磁気量子数 ml(Magnetic Quantum Number)
ml=1,3,5,・・・・,2n-1(2l+1)
電子数は2xml =2,6,10,・・・・4n-2(4l+2)
・スピン磁気量子数 ms(Spin Magnetic Quantum Number)
ms=+1/2または-1/2
下表は各量子数、電子軌道、電子の収容数をまとめたものである。