モーゼ効果(Moses Effect)、エンハンストモーゼ効果(Enhanced Moses Effect)
「水は弱い反磁性の物質であるため、強磁場を加えると水は磁場の強いところから弱いところに逃げて、水面が凹む現象が起こり、これを“モーゼ効果”と呼ぶ。」
超伝導コイルが発生する磁場は、左下図のように中心位置が最大で、中心から離れるにしたがって減衰する。実際に、反磁性の物質である水に、超伝導磁石による10テスラ(T)程の強磁場を加えるとモーゼ効果が現れる。
モーゼの十戒で海面が割れるシーンから想像して命名されたもので、実際には深さ10mもの海面を割るには数百テスラ以上の強磁場が必要になる。但し比重がほぼ同じで磁化率が異なる液体(硫酸銅と有機溶剤など)の界面は、ネオジム磁石の0.5テスラ程度の磁場でも、右下図のように視覚ではっきり分かるほど変化する。これは“エンハンストモーゼ効果”と呼ばれていて、1995年東京大学の北沢宏一教授らが発表した。