【永久磁石が使用されているHDDのモータ】
1、ボイスコイルモータ(VCM)
HDD用VCMは高速回転するディスク上のトラック/セクターと呼ばれている場所に、瞬時にヘッドを動かして読み書きするための駆動用可動コイル型リニアモータです。強力なネオジム磁石が登場してから、ヘッド技術の進歩と相まってHDDの小型・高性能化に大きく貢献しています。原理はスピーカーと同様で、磁石の作る磁界の中にコイルを組み込んだヘッドアームを入れ、そのコイルに制御電流を流して、フレミングの左手の法則でヘッドを動かすことになります。そして制御された位置で磁気ヘッドが、ディスクへのデジタル磁気信号の読み出しや書き込みを行います。
右図のピボットを中心にヘッドは一定の幅で弧(アーク)運動をします。記録密度が年々上昇し、ディスク1枚(1プラッター)当り1TB(1000GB)を超える製品も出現しています。PC搭載の2.5インチ以下のHDDはディスク1枚、ヘッド1個~2個(両面)、VCM1個が主流のようです。なお、磁気ヘッドとディスクの間はヘッドが高速で動くため空隙が必要ですが、記録密度を上げるために最小限の空隙にコントロールされています。その距離はnm(ナノメータ)のレベルで、実にジャンボ機が地上1mmで飛行していると同じことになります。
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2、スピンドルモータ
記録用ディスクを高速回転させるためのモータでDCモータの一種です。VCMは磁気ヘッドを高速で動かしたり、止めたりするために大きなトルクが必要で、磁力の大きいネオジム焼結磁石が使われますが、スピンドルモータは効率良く高速回転を維持しながら且つ小型、薄型を要求されるため、磁石もある程度の高性能を有しながらも薄型化に適しているネオジムボンド磁石(ネオジムプラマグ)が中心となっています。
以上のように、ネオジム磁石の歴史はHDDと共に歩んできたといっても過言ではありません。
今やテレビ、カーナビ、VTRカメラ等々HDDはさらにその用途を拡大していますので、益々ネオジム磁石の需要は増加してゆくと思われます。
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