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おもしろい宇宙の科学(7)<恒星-その2>

私たちが夜空に見ている星は、太陽系の惑星以外ではすべて自ら水素の核融合反応によって光り輝いている恒星たちです。そして、それらの恒星たちも生まれたての恒星から寿命がつきかけている恒星までさまざまです。先月は恒星の誕生から主系列星になるまでの過程を調べてきましたが、今月はそれら光輝いている恒星たちの終焉に至るまでの段階について調べてみました。以下、お読みいただくと分かりますが、恒星たちの死に至るまでの様子は、その質量によって大きく異なります。

[恒星-4]太陽と同等質量レベルの恒星の終焉

(1)終焉へのはじまり・赤色巨星

先月号では、「原始星の内部で核融合が始まるとその恒星は主系列星になり、核融合が続く限り主系列星と呼ばれる」というお話をしました。しかしながら、恒星の寿命、終焉のしかたはその星の質量でおおよそ決定されます。

それでは主系列星の様々な質量の恒星の終焉への段階は、いったいどのようになるのでしょう。先月号では、太陽質量の0.08倍以下の恒星は最後に褐色矮星になるお話をしましたが、今月は太陽質量の0.08~4倍の恒星について考えてみましょう。

代表的な核融合は、2個の水素原子核が1個のヘリウム原子核に置き換わり、エネルギーを放出する反応です。主系列の間、中心部にある水素は核融合反応をおこし、しだいにその燃えかすであるヘリウムがたまってきます。水素よりも密度の大きな燃えかすが中心にたまると、核融合反応で恒星が膨張する力と、恒星の質量がもつ重力収縮のバランスが崩れ、重力収縮の力が勝るようになります。すると、恒星は、自身の重さでつぶれはじめます。

中心部の圧力が再び強くなり、1000万℃以上になるため、今度はヘリウムの中心核の外側にある水素の層が再び核融合をはじめます。この核融合のエネルギーによって、恒星の中心核以外のところが膨張をはじめ、外層は膨張することで温度を下げて赤く見えるようになります。この状態を赤色巨星と呼びます。

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くじら座のミラやおうし座のアルデバラン、はくちょう座W星、うしかい座のアークトゥルスなどが赤色巨星の代表的な例としてあげられます。また、太陽もあと約50億年もすればこの赤色巨星と化し、白色矮星へと変化していくだろうとされています。

赤色巨星のうち、特に光度や直径が大きいものを赤色超巨星と呼びます。普通の赤色巨星は太陽の1-8倍程度の質量しかないのに対し、赤色超巨星は太陽の10倍以上の質量を持ちます。赤色超巨星の代表的な例としては、オリオン座のベテルギウスやさそり座のアンタレス、ケフェウス座のガーネット・スター等があげられます。

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(2) 終焉に向かう白色矯星(わいせい)

赤色巨星になると、恒星は大きさを変える脈動などをはじめるようになり、徐々に外層を周りの空間に吹き飛ばします。その後、中心核を残して外層のほとんどが吹き飛ばされてしまいます。このときにできるのが惑星状星雲と呼ばれるものです。

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ヘリウムの中心核は、そのまま収縮を続け、小さくて重い白色矯星と呼ばれる天体になります。白色楼星は、大きさが地球程度であるにもかかわらず、1立方cmあたり数トンもの高い密度をもった高温の天体です。これは角砂糖1個に象1頭分を詰め込んだ計算になります。これほど高密度になると、高温で自由に動き回れるはずの電子がとても狭い範囲に押し込められることになります。するとそのために生じる反発力で、中心部へ収縮する重力収縮とのバランスが取られ、安定した状態を保つようになります。ただし、白色矮星の最大の質量(元の恒星の質量ではない)は、太陽質量の1.46倍まで(チャンドラセカール限界)とされています。これ以上重い白色矮星は理論上存在できません。

白色矮星は、新たなエネルギーを生みだすことができないため、長い時間をかけてエネルギーを失い、輝きを失って黒色矯星となり、いつしか暗黒天体という闇に紛れる天体へと進化することになります。

[恒星-5]太陽質量の4~30倍の恒星の終焉

(1)超新星爆発(4~8倍の質量)

次は太陽質量の4~8倍までの恒星を見てみましょう。こうした恒星では、重力収縮によって中心部の温度が3億℃以上となり、水素の燃えかすだったヘリウムの中心核も核融合をはじめます。強い重力収縮によって、恒星は膨張できず、温度が上昇しても熱を解放できません。ヘリウムの核融合で生まれた炭素も、しまいには高い熱によって核融合をはじめます。その激しい炭素の核融合に、恒星は耐えきれずについには大爆発をおこします。この大爆発を超新星爆発と呼びます。

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(2)Ⅱ型超新星爆発と中性子星誕生(8~30倍の質量)

太陽質量の8~30倍の恒星でも、その重力収縮によってヘリウムの燃えかすである炭素や酸素の核融合もはじまります。しかし、炭素の量が多いために発生するエネルギーが非常に大きく、重力収縮に対抗していくぶん膨張し、熱が解放されます。そのため、核融合反応が次々と進み、炭素、酸素からマグネシウム、ケイ素へと進行し次々と重い元素が生まれ、最後に鉄となります。

鉄の原子核は、核融合をおこせないため、中心部は冷えてしまいます。すると重力収縮に対抗する力がなくなり、その力に耐えきれず急速に中心部に向かってつぶれてゆきます。中心核に向かって、外層も大量に落下し、これが中心核にぶつかると大反発をして大爆発をおこします。これをⅡ型超新星爆発といいます。

太陽質量が8~30倍の恒星内部では、鉄などさまざまな重い元素がつくられます。こうした星々の大爆発によって生命を構成する物質が宇宙にまき散らされることになるのです。

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太陽質量の8~30倍の恒星が引き起こすⅡ型超新星爆発では、星の内部で核融合が次々と進み、鉄の中心核ができ、大爆発をおこします。この最後の爆発のときに、反動で中心核はさらに圧縮されます。そして、残った鉄の中心核が太陽質量の1.46倍(チャンドラセカール限界)を超えると、その高い圧力によって、ついには中心核を構成している鉄の原子核が分解されてしまいます。電子が陽子に吸い込まれて中性子ニュートリノという物質ができるのです。ニュートリノは、宇宙空間へと飛び出していき、残った中性子だけで構成される星ができます。これが中性子星です。

中性子同士は近づきすぎると核力と呼ばれる反発力を生じます。そのため、重力収縮と対抗できるようになり、太陽質量の2倍以内であれば中性子星は安定して存在できます。

中性子星は、半径がたった数十kmしかないのですが、その重さたるや、太陽質量と同じくらい、言い換えれば太陽系と同じくらいです。とても小さいがゆえに、1立方cmあたり5億tという、とても密度の高い、重い星となっています。たとえるなら、東京ドーム400杯分の水をたった1cm四方のサイコロに詰め込んだ重さということになります。

[恒星-6]太陽質量の30倍以上の恒星の終焉

恒星としては最も重い、太陽質量の30 倍以上の場合を考えてみましょう。

超新星爆発までのステップは前述の8~30倍の恒星と同じです。しかし、圧縮される中心核は、もはや中性子による核力でも支えることができません。恒星の質量がもつすさまじい重力収縮に耐えきれず、中心核はさらに圧縮されて密度を増し、重力がさらに強くなります。この過程を際限なくくり返し、中心核は限りなくつぶれ、重力崩壊をおこします。その結果、ついには何も抜け出すことのできないブラックホールと呼ばれる天体になるのです。

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宇宙で最も速いのは光で、秒速30万kmです。この光さえも抜け出すことができない真っ黒な天体がブラックホールです。ブラックホールの存在は、1916年にアルバート・アインシュタインが発表した一般相対性理論から理論で導かれ、その後1970年に打ち上げられた世界初のX線天文衛星ウルフによってはじめて観測されました。たとえば、地球を縮めて直径18mmにすれば、光さえ抜け出せないブラックホールになります。重力が強ければ、それを振り切るためにはより速い脱出速度が必要になります。

実際の地球の重力圏から脱出するためには、秒速約11kmが必要です。太陽なら秒速約620kmになります。ところが、ブラックホールの重力圏からはどんな物質も抜け出せません。それは、宇宙で最も速い光の秒速30万kmを脱出に必要な速度が超えるからです。

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以上、恒星たちの死に向かう様子はその質量によってまちまちであるということでした。そして、太陽の30倍以上の大きな質量をもつ恒星はやがて光でさえも抜け出せないブラックホールになることも分かりました。最後にこれらの段階をもう一度下図によって確認してください。

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来月は恒星についての最終章として、恒星までの距離や明るさ、そして恒星には様々な種類があることなどについてお話をする予定です。

 

<参考・引用資料>

「知識ゼロからの宇宙入門」渡部潤一、渡部好恵 、ネイチャープロ編集室 発行元:幻冬舎

「徹底図解 宇宙のしくみ」編集・発行元:新星出版社

「宇宙の秘密がわかる本」宇宙科学研究倶楽部 発行元:株式会社学研プラス

「NASA資料」NASAホームページ

「ウィキペディア」