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おもしろい宇宙の科学(8)<恒星-その3>

前2回までの恒星についての章では、その質量(重さ)、年齢でさまざまな種別があり、その終焉までの過程も大きく異なってくることをお話しました。今月は恒星についての最後の章として、質量、年齢以外でのさまざまな恒星の分類について勉強してみたいと思います。

また、恒星までの距離やその測り方、あるいはその明るさの違い、見かけ上の色の違いなどについても調べてみました。

[恒星-7]重星・連星・変光星

(1)恒星が2つ以上集まった連星系

<重星>

恒星にはさまざまな種類があります。地球から見て2つ以上の星が接近して見える場合を重星といいます。しかし、重星は見かけのペアで、実際にはそれらの星は離れています。

<連星>

重星に対し、実際に近い距離にあって、たがいに影響を及ぼし合っている天体の場合を連星といいます。恒星のうち、少なくとも25%はこの連星系だと考えらえています。そして、連星にもいくつかの種類があります。

まず、2つの恒星が別々に認識できる場合を実視連星といいます。逆に見た目では確認できず、スペクトルなどによって、ようやくペアを確認できるものを分光連星といい、片方の恒星の前をもう一方の恒星が横切り、明るさが周期的に変わるものを食連星といいます。いくつもの恒星が、重力的に結びついている場合、3つであれば三重連星、4つであれば四重連星となります。

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(2) 光度を変化させる変光星

恒星には明るさを変化させるものがあり、変光星といいます。変光星は様々な特徴を持っています。そしてその特徴により以下のように種別されています。

<脈動変光星>

単独で周期的に明るさを変える恒星は脈動変光星と呼ばれます。くじら座のミラは脈動変光星で、膨張しているときは暗く10等級くらいですが、収縮しているときは明るく2等級になります。

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<セファイド型変光星>

明るさと脈動する周期にある決まった法則をもつ変光星にセファイド型変光星があります。この変光星は、周期が長いほど光度が明るく、周期の長さを測るとその恒星が放っている本来の明るさ(絶対等級)を知ることができます。見かけの明るさと絶対等級を比べることで、恒星までの距離を求めることができるのです。アメリカのエドウィン・ハッブルはこのセファイド型変光星を使って、アンドロメダ銀河が銀河系の外にあることを確かめました。

<食変光星>

共通重心の周りを回る2つの星が互いの光を覆い隠し合うことによって、みかけの明るさ(2星の合成光度)が変わるタイプの変光星です。そのため、食変光星は必ず連星系を形成しています。また、地球から見てこの連星系が食変光星に見えるためには、2つの星の軌道面が、地球と連星系とを結んだ直線を含む平面の近くに存在する必要があります。一般的に、恒星自身の明るさは変わらず、規則的に変光するのが特徴です。なお、食変光星は変光星としての分類であり、連星の分類としての食連星と同じものです。

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<激変変光星>

突発的に増光する星で、新星、新星状変光星、超新星、矮新星、アンドロメダ座Z型に細分類されます。恒星の一生を終えるときに引き起こす大爆発により発生する超新星を除けば、白色矮星と赤色星が回りあっている近接連星系で起きる爆発的な増光であるといえます。

<爆発変光星>

光の増減に規則性がなく、恒星の大気や外層の爆発によって輝きを変える変光星を爆発変光星と呼んでいます。

<回転変光星>

恒星表面の明るさ分布が一様でない場合、自転によって明るさが変わるものは回転変光星と呼ばれます。

 

以上本章では、見かけ上複数集合している恒星や光度をさまざまに変化させている恒星についての概略的な話でしたが、さらに詳細な内容については専門書等でご確認ください。

[恒星-8]星たちの距離と明るさ

(1)見た目と異なる恒星の距離

プラネタリウムに映し出される星座は、ドームという同じ面に投影されています。夜空を彩る星々も、まるで同じ面に映し出された光のようです。しかし、これらの天体は、実際はみな地球からの距離が異なります。一塊に見える星座も、地球以外の、たとえば“おりひめ星(こと座のベガ)”から見たら、まったく違う形に見えます。それは、夜空を肉眼で眺めるだけでは、遠近感がわからないからです。

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(2)恒星までの距離の測り方

星に限らず、物までの距離を測るもっとも基本的な方法は、三角測量です。2カ所から見て、見える方向が大きくちがうのなら近く、あまり変わらなければ遠くということがわかります。2カ所の間の距離や見える角度の違いがわかれば、正確な距離を計算することができます。月までの距離は、地球上の2点で見える位置を測定することによって、求めることができます。

星までの距離は、月などの距離に比べると非常に遠いために、地球上の2カ所から観測しても見える角度の違い(視差)があまりに小さく、とても測ることができません。そこで天文学者は、地球上の2つの地点から比べるのではなく、半年おいた2回の観測を比べることを思いつきました。地球は太陽の回りを公転しています。半年おいて2 回観測すれば、太陽をはさんだ両側から星を観測したことになります。2点の間の距離が大きくなれば、視差がそれだけ大きくなり、観測しやすくなるわけです。このようにして求められた視差を「年周視差」といいます。

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観測しやすくなったといっても、年周視差の大きさはそれでも非常に小さく、初めて測定されたのは、1838年のことでした。求めたのはドイツの天文学者ベッセル、星ははくちょう座61番星、年周視差は0".314(1"は1°の1/3600)でした。この角度を距離に換算すると、10.4光年になります。宇宙の大きさを求める研究は、ここから始まったのです。ちなみにもっとも近い星は、ケンタウルス座アルファ星で、4.35光年の距離にあります。

年周視差の方法では、遠くの星の距離は求めることができません。そこで、次に「星流視差」「分光視差」などの方法が用いられます。星流視差は、宇宙空間を同じ方向に運動している星の集まり(運動星団)の運動のようすから、その距離を調べる方法です。おうし座のヒアデス星団の距離は、この方法から約150光年とわかっています。星団は、属している星がほとんど同じ距離にあるために、星のさまざまな性質を比較研究するのに非常に便利です。

このような研究によって、星の色やスペクトルの様子から、その星のもともとの明るさ(絶対等級)などもわかるようになりました。もともとの明るさがわかれば、見かけの明るさと比べて、その星までの距離を求めることができます。これが分光視差の方法です。

[恒星-9]恒星の色

(1)恒星の色と表面温度

夜空を見上げると、赤い星や黄色い星、青白い星など、さまざまな色の星があることがわかります。夏ならば、さそり座の1等星アンタレスが赤い星の代表、こと座の1等星織り姫星のベガが白い星の代表でしょう。冬ならば、オリオン座の左肩の1等星ベテルギウスが赤い星、右下の1等星リゲルが青白い星の代表といえます。また、ぎょしゃ座の1等星カペラは黄色く輝いて見えます。どうしてこのようにいろいろな色の星があるのでしょう? 何が星の色を決めているのでしょうか?

鉄を熱していくと、最初はにぶく赤黒く光りだしますが、しだいに黄色くなり、そしてついには白くまぶしく光るようになります。このことから、色は温度と関係があることがわかります。温度の低いときは波長の長い赤い光がもっとも強く、温度が高くなるほど波長の短い青い光がより強くなっていくのです。星の場合も同じことで、星の色が赤から黄、青白となるほどその星の表面温度が高いことを示します。赤い星アンタレスの表面温度は約3500℃、白い星ベガは約9500℃ です。ちなみに、太陽は表面温度約6000℃ の黄色い星です。星の色の観測は、このように星の温度を決めることができるので、非常に大切な観測の一つです。

実際は太陽のような熱を発する光は、あらゆる光の波長を含んでいます。太陽光をプリズムに通すと光が分かれ、連続した虹のようになるのはそのためです。プリズムを通して赤や青に分光された光の波長を「スペクトル」と呼び、連続的な虹色のスベクトルを「連続スペクトル」と呼びます。この連続スペクトルのピークの波長がその恒星の表面温度を示しています。

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それでは、星の温度はどのような方法でわかるのでしょうか? 青白く見える星の大部分は、質量の大きい若い星です。また、赤い星は質量の小さい星か、年老いた星です。質量の小さい星は、質量の大きい星に比べると、大きな平均密度をもっています。質量が小さいぶん、密度が高くならないと、中心部で星のエネルギー源である核融合反応が始まってくれないからです。このように密度が高いと、中心で発生したエネルギーは、なかなか表面まで出てくることができません。それで、質量の小さい星は表面温度が低いのです。質量の大きい若い星は、この反対の理由で表面温度は高くなります。また、星は年老いると、半径が何百倍にもふくれあがった赤色巨星という星になります。このために、年老いた星の表面温度は低くなっているのです。

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(2)スペクトル分析による恒星の大気組成

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スペクトルは他にも重要なことを教えてくれます。光を放射する恒星の中心部の外側には、その恒星の大気があります。この大気部分の原子が特定の光を吸収し、連続したスペクトルの中に光が欠けた、暗い部分が現われます。この部分を「吸収スペクトル」と呼びます。原子や分子の種類によって、吸収するスベクトルが変わるため、恒星の大気がどのような組成かを知ることができるのです。

また、原子によっては、恒星の光で電子が励起され、光を放出する場合があります。この場合、連続スペクトル上に鋭いピークが現われる。これを「輝線スペクトル」といいます。輝線スペクトルからも大気の組成を知ることができます。

以上、3回にわたった“恒星”シリーズは終了します。次回からは私たちが住んでいる地球を含む“太陽系”についてのお話に移りたいと思いますのでご期待ください。

 

<参考・引用資料>

「知識ゼロからの宇宙入門」渡部潤一、渡部好恵 、ネイチャープロ編集室 発行元:幻冬舎

「徹底図解 宇宙のしくみ」編集・発行元:新星出版社

「宇宙の秘密がわかる本」宇宙科学研究倶楽部 発行元:株式会社学研プラス

「NASAホームページ」

「ウィキペディア」

「国立科学博物館」ホームページ