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地球温暖化と温室効果ガスの検証(1)<温暖化脅威論の歴史>

今月からNeoMag通信は表題のような新しいテーマにて皆様にお届けいたします。

1988年、国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発足して急速に「地球温暖化」議論が盛んになりました。そして、1997年12月11日、第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)において「気候変動枠組条約に関する議定書(京都議定書)」が採択されました。

この内容は、主要先進国の温室効果ガス(二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素 (N2O)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6))を1990年を基準に、2008~2012年までの各国別削減量を具体的に定めたものです。

しかしながら、この議定書には中国を含めた途上国が含まれておらず、さらに後に米国が脱退して「不完全」なものでした。

その後、紆余曲折を経ながら、また依然として米国は参加していない中で、2015年12月12日、改めて詳細な国別の削減目標を決めた「気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定(パリ協定)」が採択されました。

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以上のような、国際的な取り組みが、ゆっくりではありますが進んでいる中で、・・・昨今の気候変動は異常であり、何としても温室効果ガス削減をしないと地球は大変なことになる・・・というNGOや若者を中心とした「温暖化脅威論」とその活動が、昨年、今年と急速に目立ってきています。

このような地球環境に対する国際的な背景の中で、本テーマでは地球温暖化や温室効果ガスについて、“本当に地球は温暖化しているのか?温暖化しているのならどの程度か?温室効果ガスがほんとうに真犯人なのか?”・・・等を、地球の気候変動の歴史、科学的な根拠、各種測定値の客観的精度、人間の勘違い、政治的な操作・・・・等々について検証してゆきたいと思います。

したがって、多くの読者の皆様が常識だと思っている(思わされている?)「地球温暖化脅威論・温室効果ガスの脅威論」に対する「反論・反証」も数多く取り上げて勉強してゆくつもりです。

[温暖化脅威論の歴史-1]気候大変動話がつきない過去200年

<19~20世紀の温暖化騒ぎ>

17~18世紀の小氷河期と言われた寒冷化時代を過ぎて、19世紀以降徐々に温暖化して行く過程で、現在のような「温暖化脅威論」が台頭してきました。

「極地では不気味な気候大変動か進行中に見える・・・・かってグリーンランド海を覆っていた氷が・・・・ここ2年間で消え失せた」。発言者は英国主立協会(ロイヤル・ソサエティ)の会長です。ただし現在ではなく19世紀のジョセフ・フッカー会長が、1817年11月にそう書いています。

その100年後、「いま大規模な気候変動がゆっくりと着実に進み、地球規模の干ばつを起こそうとしている」と王立地理学会の某教授か1914年に発表しました。

さらにその後のニューヨークタイムズ紙にはこんな記事が残っています。「半世紀前に比べ、北極の海氷は厚みで40%、面積で12%も減った。科学者の予測だと、いまの子どもたちが死ぬまでに北極海の氷は消え失せ、船でらくらく北極点にたどり着けるだろう」。最近の記事ではなく、「変貌を遂げつつある北極」なる見出しのもと、温暖化を警告する1958年10月19日の記事です。

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気候変動は、もう18世紀の人々が心配していました。また、以後100年以上もの間ずっと、気候変動を疑う人々は、証拠を見せろと研究者に迫り続けました。

1871年1月10日付ブリスベーンクーリエ紙の懐疑的な綸説は、いまの新聞に載っていてもおかしくありません。「季節や月を問わず、乾湿・寒暖や風況にはいつだって『異常』がある・・・・3年続きの大干ばつもそう・・・・それなのに、しかもただの憶測で、『人間活動が途方もない気候変動を起こす』と叫ぶ人は絶えることがない」。この論説を書いた記者は、やはり昨今と同様、気候変動の恐怖を煽る人々が観測事実から目をそむけ、固定観念にとらわれるさまを次のように批判しました。「誇大発言に合わない観測事実も、『人騒がせ屋(アラーミスト)』の面々には、自説を補強する材料に見えるらしい」と。

62年後にオーストラリアの気象専門家が、『異常な気候変動』話は「人間の記憶ちがい」から生まれると指摘しています。1933年2月1日付アデレードニューズ紙が・・・「オーストラリア連邦の気象学者ワット氏は、異常気象について質問された際、苦笑いしながら答えた。『現状を過去と比べる人は、異常な状況だけ覚えているんですね。どの気象記録も正常範囲なのに』。ワット氏がまだご存命なら、異常気象を煽る昨今の研究者をからかって楽しむにちがいありません」・・・と報道しました。

 

<1970年代の寒冷化騒ぎ>

いつの世も、「いまの気象」を異常とみる人が多いようです。「温暖化」でない時代もそうでした。

「近年の気象災害は、ただの異常ではなく、地球の気候が根本から変わる予兆にちがいない」。それを1974年に書いた人物、米国立大気研究所(NCAR)の創設者ウォルター・ロバーツは、地球寒冷化を警告していました。翌年にはニューズウィーク誌も寒冷化の警告記事を出します。「近ごろ地球の気象は激変を始め、食糧の大減産をもたらしそうな兆しが見える。多くの国で深刻な政治問題になっている」。

だから政府は腰を上げるべきだと言う。「気候変動の解消(せめて被害の軽減)に向けて政府が前向きの姿勢をとるかどうか、気候学者たちは悲観的に見ている・・・・放置するほど対応もむずかしくなり、手遅れになる恐れも大きい」・・・と。

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1970年代の地球寒冷化騒ぎでも、いまアル・ゴアー派が十八番にするティッピングポイント(臨界点)のレトリックが広まっていました。そして当然、誇大宣伝には「科学者の合意」が華を添えます。たとえば1975年のニューズウィーク誌に、「寒冷化は20世紀の農業生産を減らす。科学者のほぼ全員がそう合意している」という記事が出ました。

地球寒冷化も異常気象を増やすらしい。だから同じニューズウィーク誌の記事にも「4月には竜巻が観測史上最悪の猛威を振るい、148回の竜巻が13の州で死者300以上、経済損失500億円をもたらした・・・・科学者はそれを、地球の気象が寒冷化モードに入った兆候とみている」と書かれています。

ニューヨークタイムズ紙も負けじと「地球の気象が激変して災害のリスクも増える、と多くの気象学者が予測する・・・・」と書きました。

研究者ケネス・リチャードのブログNo Tricks Zone(NTZ)によると、「1960~1970年代には科学者たちの86%が『地球寒冷化』に合意していた。1960~80年代には、地球寒冷化の学術論文が285篇も出た。」ということです。ただし、そのころに「氷河期接近」を大騒ぎした研究者の一部は、やがて地球温暖化を警告するようになります。

「寒冷化傾向は今後200年~数千年も続き、やがて次の氷河期が来る。地球寒冷化の原因については、60種類もの理論が提案されている。」と1974年1月20日、カリフォルニア州のユカイアデイリージャーナル紙が書きました。

ブログReal Climate Scienceに懐疑派のトニー・ヘラー(筆名スティーブンーゴダード)は「NCARや英国気象庁、米国科学アカデミーNSA、航空宇宙局NASAなど気候関係の主力組織も、中央情報局CIAさえ、氷河期接近のホラー話を信じこんでいた」と書いています。そのCIAの研究部は、「情報に関連する気候学研究の調査」という1974年の報告書で、食糧危機につながる「17~18世紀以上の恐ろしい地球寒冷化」を警告していました。

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また、ワード・K・スミス博士がABCニュースの寒冷化特番で視聴者にこう警告しました。「地球は確実にまた凍りつきます。ウィスコンシン州にある世界最大の気象研究機関の所長リード・ブライソンを始めとする専門家が、寒冷化は1945年から進行中だと確かめました。氷河期の再来です」。さらに「専門家によれば、いま進行中の寒冷化は一過性ではなく、今後も悪化してゆくでしょう。どんどん寒くなってゆくのを疑う余地はありません」と補足したのです。

[温暖化脅威論の歴史-2]地球温暖化脅威論の再燃とIPCC

<IPCCの誕生>

1980年代の前半、気候変動騒ぎは足踏み状態にありました。ですが80年代の末近くになって突如、地球温暖化論が脚光を浴びます。

温暖化がはっきりと世の話題になり始めたのは、1988年のことです。その年、やがて人為的CO2温暖化論の総本山となり、5~6年ごとに1000ページ超の報告書を出すこととなる国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が産声を上げたのでした。

IPCCは、CO2(などの温室効果ガス)が気候に及ぼす影響を検討しています。母体の国連は「対策」を考える組織ですから、IPCCは「危機を訴える」のが使命になります。もしCO2に問題がないとわかれば国連は、世界経済を管理下に置き、世界エネルギー需給を差配するという名目を失い、少なくとも、IPCCは不要になります。そんなジレンマがIPCCの営みには内在します。だからIPCC報告書の査読経験をもつ研究者ヴィンセント・グレイが、IPCCの業務を「科学のねじ曲げ」と皮肉ったのです。

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かつて起きた環境騒動あれこれは、温暖化とちがって中央集権組織(国連)にからまず、湯水のような資金供給もありませんでした。だからこそ、たいていの環境問題では学界もメディアも、見解の片方だけを支持したことはなかったのです。しかし気候変動の話は、そもそもの初めから国連が関与したからこそ、一方の見解(人類に危機が迫るというホラーに近い話)だけが世に広まったといえます。

 

元国連コンサルタントの地球科学者デヴィッド・キアが2014年に、IPCCが進めた科学の腐敗を証言しています。「各国の閣僚、省庁、企業、旅行社、イペント業社、交渉役、排出取引担当などをとり仕切る巨大な国際官僚組織ができた。孫の世代が犠牲にならないよう、二酸化炭素の排出を減らすのだ・・・・という教義が集団内に満ちる。けれど実のところ孫の世代には、いま温暖化論者が進めているCO2排出、つまり声高に温暖化対策を唱える人々の給料や研究費、活動費に伴うエネルギー消費(=CO2排出)の莫大なツケが回ることになってしまう」と。

IPCCには、研究者のほか環境活動家もいます。カナダの女性ジャーナリストのドナ・ラフランボワーズが、IPCC報告書の制作に加わった過激な活動家を特定しています。たとえばIPCC報告書の責任執筆者を務めたオーストラリアのオーヴェ・フーフ=グルペリは「世界自然保護基金WWFとグリーンピースで活動歴の長い筋金入りの活動家」だといいます。ラフランボワーズによれば「IPCCは当初から、環境活動団体の人間を執筆陣に入れてきた」。「名高い環境NGOの世界自然保護基金にもグリーンピースにも、科学者はほとんどいない。特定の意図をもち、それぞれの政治観を広めるために給料をもらう活動家や支援者たちだ」。・・・・なお、環境問題を科学的に勉強しているとは思えない、若いグレタ・トゥンベリを担ぎ出している最近の環境活動家たちやNGOがそのたぐいではないといえるでしょうか。

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IPCC報告書の責任執筆者リチャード・トールもこう指摘しています。「IPCCの各国代表は政府が指名する。ただし通常、指名する主体は科学機関ではなく、環境関係の省庁だ。そのため、研究業績でずっと優秀な人物がいても、そうでない人物が指名されてしまう。政府見解と合わない人物は、いくら有能でも排除される。まともな能力も経験もないのに、コネだけで選ばれる代表も多い」。

そんなIPCCは、メディアが好きそうな報告書をつくりたい。「得体の知れない集団が、前回の報告書より大きなアドバルーンを上げようとします。状況は6年前より悪いのだと。膨大な報告書を分担執筆する人たちは、自分たちの章にこそいちばん暗い未来が描いてある・・・・というふうに競い合うんですね」とトールは証言しました。

 

<IPCC誕生の背景とアル・ゴア>

IPCCが生まれた1988年は、NASAの科学者ジェームズ・ハンセンが、温暖化対策の緊急性を連邦議会で訴えた年でもあります。「人為的CO2温暖化は99%確実」というハンセン発言が世界を動かしました。ニューヨークタイムズ紙は「今日の公聴会でハンセンは『温暖化の議論は、温室効果と気温上昇の因果関係が確実といえる段階に達しました』と証言し、『温暖化はもう進行中なのです』と強調した」と報じています。

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NASAで温暖化研究を率いるハンセンの証言を、メディアは狂ったように報じまくりました。けれどハンセンの元上司だったNASA大気部門のジョン・S・テオン博士が、2009年にハンセン証言を聞いて、「唖然とした。困ったものだと思ったよ」と書いています。

テオンが言うには「気候が変動しているかどうかも、人間活動が気候にどれほど影響するかも未知数・・・というのがNASAの公式見解だ。ハンセンはそれを無視した。だから彼の議会証言はNASAの見解ではない」。こんな補足もしている。「けれど、もし私がハンセンの研究予算を打ち切ろうとしたら、解任されただろう。なにしろ彼は当時もう、アル・ゴア(上院議員。1991~2001年の副大統領)を抱きこんでいたから」と。

[温暖化脅威論の歴史-3]研究者の合意97%の虚構

<合意97%は水戸のご印籠>

温暖化脅威派の面々は、ことあるたびに「研究者の合意」をもち出します。科学者の97%までがCO2温暖化説に合意しているという物語です。

「合意」論の草分け、元副大統領アル・ゴアが1992年、国民に向けて宣言しました。「地球温暖化の危機を否定する科学者は、ほんのひと握りしかいません。論争はもう終わり。温暖化は決着した科学なんですよ」。ジョン・ケリー元国務長官も2014年に「全世界の科学者の97%が人為的CO2温暖化説に合意し、・・・・まさに緊急事態だと警告しているわけです」と語っています。当時のオバマ大統領も同じ数字を振りかざしていました。

そこでCNNが「すでに始まった気候変動は、地球の破壊を進めつつあり、その根源は人間活動だという点て科学者の95~97%が合意しています」と報道しました。ニューヨークタイムズ紙のトム・フリードマン記者は、「合意」に逆らう人に対して、「専門家の97%が合意し、たった3%が受け入れない。保守派は『3%を信じる』と言うけれど、わずか3%なら、保守というより「トロツキーばりの急進派」だろう」と書きました。は「97%合意」 、まさに日本でいう「水戸のご印籠」といえるものでした。

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<科学者でさえ騙される>

「97%の合意」には、まっとうな気候学者さえ騙されました。アメリカン大学の気候統計学者カレブ・ロシター教授か、「合意」に心を動かされた当時のことを「気候のことなど本気で調べてもいなかった10年前の私に、大統領の筆頭科学顧問だったホルドレン教授を疑う余地などありませんよ」・・・と振り返っています。

2009年秋のクライメートゲート事件(IPCCの幹部が論文審査に介入して「CO2脅威論文」を優先)を契機に目覚めた女性気候学者、元ジョージアエ科大学のジュディス・カリー教授も回想しています。『たったひとりの科学者が言うことは、眉にツバをつけて聞く。数百名や数千名もの科学者集団がじっくり検討した末の結論ならば』というわけで、当時は私も「合意」を正しいと思っていましたよ」と。

地質学者レイトン・スチュワードも、「8年前や10年前に『地球温暖化の原因は?』と訊かれたら、『二酸化炭素だろ』と答えたでしょう。それしか耳に入ってこなかった時代ですしね」と取材に応えてこう振り返っていました。

だが英国の科学者フィリップ・ストットは、科学の話で「合意」は有害だと説きます。「科学は合意で前に進んだりしません。まして政治がらみの合意など言語道断。歴史を振り返ると、合意の弊害はガリレオで明らかでしょう。ずっとあとの20世紀初頭でも、じつに85%の科学者が優生学を信じていましたよ。科学の研究では、懐疑こそ命なのです」。

定年退職したMITの気候学者リチャード・リンゼンは「『合意』は研究費がほしい研究者のアドバルーンにすぎない」と言っています。「1850年ごろに小氷期が終わったあと気温が上がってきたのは、研究者なら誰でも知っている。大気中のCO2に弱い温室効果があるのも知っている。だけど、温度が危険なほど上がるからCO2排出を減らそうというのは、誇大妄想にすぎない」。さらにリンゼンは「自分のあやふやな発言を仲間が増幅してから、『みんながそう言っている』と言い逃れる。そんな研究者に政府が莫大な研究費を恵む・・・・となれば、『みんな』が温暖化研究にどんどん参入するのも無理からぬこと」だと言っています。

いずれにしても、温暖化脅威論の「合意」は、おもに二つの要因が生んだともいえます。国連IPCCの「権威」と、少数のあやしい調査報告です。

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<IPCCの研究者はせいぜい数10名>

元国務長官ジョン・ケリーはIPCCを究極の権威とみて、「気候関係の議論なら、IPCCを信じるしかない。なにしろ130か国の科学者2000名以上が集まった組織なので」と発言しています。はたしてその人数はほんとうでしょうか。

IPCC報告書を実質的に書く科学者は、「数百名」や「数千名」もいません。たとえば、2007年のIPCC第四次報告書「政策決定者向け要約」執筆にあたった科学者は52名です。2013年の第五次報告書では14名増ですが、それでも66名にとどまります。

英国のガーディアン紙は「政策決定者向け要約は、約500名の集団が一語一句まで検討して仕上げる。500名のうち271名が115か国からの官僚、57名がオブザーバーで、報告書本体を執筆した専門家は66名だった」と報告しています。

気候学者マイク・ヒュームは、IPCCを「科学者の代表」とはみていません。「『一流の科学者2500名がCO2人為的温暖化説に合意している』というのは、ただの風説です」と述べて、声の大きい少数の人間がそう言っているだけだというわけです。

IPCC報告書の責任執筆者ウィリアム・シュレージンガーも、IPCCに集う科学者のうち気候の専門家はごく少数だと言っています。

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IPCC報告書を査読したジョン・マクリーンも、似たような感想をもらしています。実のところIPCCは人為的CO2温暖化説を広めるために国連がつくったロビー集団だといえます。温暖化脅威派は、米国科学アカデミー(NAS)や米国地球科学連合(AGU)、米国気象学会(AMS)などの学術団体も人為的温暖化の「合意」を承認した、と言い募ります。しかし、政府べったりのNAS理事会が[合意]を承認するのは、まさしく政治的な行動にすぎません。

また、AMSも声明で「合意」を承認したけれど、一般会員の意識調査をしたところ、75%の会員がIPCCの主張に不同意でした。

NASもAMSも、一般会員の賛否は問わず、20名ほどの理事が「合意」承認の声明を出しました。政府の財政支援を受ける団体だから、政府の方針に従ったのか? 幹部がそんな声明を出したことさえ知らない一般会員も多いのです。

 

<論文要旨だけからの捏造>

「97%の科学者が合意」という風説は、いったいどこからきたのでしょう?

MITのリンゼンが2017年に、「ムードづくりのためだった」と喝破しています。いわく「科学オンチの国民を 納得させるためのネタです。科学者の97%が合意した話を受け入れる自分は、わずかな数の懐疑派 や否定派より偉い・・・と思えるんですかね」と。

だが「97%」の根元は何か? また、科学者たちはいったい何に「合意」したのだろう?IPCC報告書の責任執筆者を務めたリチャード・トールが2014年、「97%」の根元を調べました。いちばん名高いのは、1991~2011年に出た気候変動の学術論文11,944篇を、オーストラリアの研究者ジョンークックが分析した結果だと判明しました。クックらは、論文の冒頭にある「要旨」を眺め、「全体の97.1%が、人間を地球温暖化の原因とみている」と結論し、そこから「97%」説が生まれました。しかしトールが調べてみると、要旨のうち66.4%は、人為的温暖化について何ひとつ態度表明をしていません。

トールは「『97%合意』の根拠はグラグラだった。論文の要旨と中身が合わないものも多い。つまり97%合意はでっち上げ。確実な研究を基礎にしたものじゃない」と報告しました。論文の中身も当たってみると、11,944篇のうち中身が「合意」と合うのは、わずか 64篇だったといいます。調べた結果のまとめをトールは『エネルギーポリシー』誌に発表しました。

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気象予報士のアンソニー・ワッツが一件を「クックは、『97%』を出した手順を公開しない。だから『97%』は誰も再現できない。偏見や分類ミス、雑なデータ、分類基準が一貫していないところなど欠陥だらけ。絵に描いたような『でっち上げ』だ」と評価しています。

英国・地球温暖化政策基金のアンドリュー・モントフォードは、トールとは別の「クック批判」論文に名を連ねました。彼は「クックが見つけたという『合意』はほぼ無意味。CO2に温室効果があり、人為的CO2は地球を少しは暖める・・・・という常識以上のことは、ほとんど誰も言っていない。・・・クックの調査と称するものは、温暖化論争にいっさい関係しない」と述べています。

マーガレット・サッチャー元首相の科学顧問だったクリストファー・モンクトン卿も、2015年に「97%合意」の根拠を当たりました。彼の分析によると、「気温上昇の半分以上を人為起源とみる」論文は、全体の「97%どころか、要旨なら11,944篇のうち0.3%、本体で温暖化の原因を考察した4,014篇のうちでも1%にすぎない」ということが判明しました。

2013年にはデラウェア大学の気候学者デヴィッド・リゲイツたちも、クックの「97%」に挑みました。リゲィツは「お粗末な手品に近い。・・・ほんとうの数字は?誰も知らない。なのに、温暖化が人為起源で危険だという『合意』に逆らう科学者は、主流派から叩かれる。その点だけは明確だ」と書いています。

なおこれら11,944編の中には数千編の太陽科学、宇宙科学、物理学、気象学、天文学から気候変動を調べた研究論文も含まれていて、これらが合意に合う64編の中に入っていないことは当然でした。

 

次回からは、地球の気温の変化、CO2量の変化に関して、実際の測定データとデータの問題点、あるいは解析手法の問題点などを検証してゆきます。

<参考・引用資料>

「不都合な真実 」アル・ゴア(著)、枝廣 淳子(訳)、 実業之日本社文庫

「地球温暖化の不都合な真実」マーク・モラノ(著)、渡邊 正(訳)、日本評論社

「グレタ たったひとりのストライキ 」マレーナ・エルンマン (著)、グレタ・トゥーンベリ (著)、羽根 由 (翻訳)

「地球温暖化狂騒曲・社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正(著)、丸善出版

「地球温暖化・CO2犯人説は世紀の大ウソ」丸山茂徳、戎崎俊一、川島博之。デビッド・アーチボルト、ほか、宝島社

「論文:地球温暖化の太陽活動原因説」松田卓也、あすとろん第3号(NPO花山星空ネットワーク)