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地球温暖化と温室効果ガスの検証(2)<世界の気温変化とCO2の増加>

[世界の気温変化とCO2の増加-1]ホッケースティック曲線からの警告

下のグラフは国連のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2001年に出した第3次評価報告書の中で示したもので、基になった論文はペンシルバニア州立大学のマイケル・マンが発表した研究結果です。

これにより1970年以降の気温の増加は人為的なものであるとされています。2001年というのは特殊な時期で、第3次評価報告書はこのグラフの「ホッケースティック曲線」が目玉でした。19世紀以降に急激に気温が上がって、グラフの気温変化の曲線がホッケースティックのように見えるというものです。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200401

マンは、「この急カーブは19世紀以降の地球温暖化を物語っており、このままでは地球は悲劇的な事態に陥る。ただちに化石燃料の使用を減らして二酸化炭素の排出を抑えるべきである」と語り、この衝撃的な主張と「ホッケースティック曲線」というユニークな命名が功を奏して、このグラフはIPCCの報告書で何回も引用されるようになりました。また、元アメリカ副大統領のアル・ゴアの著書「不都合なの中にも引用真実」の中にも引用されていて、世界的に有名になりました。

この後2007年、IPCCは国連を舞台に「人為的な地球温暖化」をセンセーショナルに唱えたアル・ゴアと共にノーベル平和賞を受賞しました。

[世界の気温変化とCO2の増加-2]ホッケースティック曲線への疑義

(疑義-1)1900年前後からも急激な温度上昇

IPCCはホッケースティック曲線によると、世界気温は人為的な温暖化ガスによって1970年頃から急激に上昇していると主張しています。しかしながら、それ以前の1900年前後から1950年あたりにかけてもやはり急激な気温上昇があり、その期間は人為的だとするIPCCの見解と合いません。IPCCはその期間について「自然変動に帰するほかない」としています。

次図左は1958年から2018年までのハワイ島マウナロワ観測所によるCO2濃度の実測値です。1960年以前1000年間のCO2濃度は、種々の分析により250~280ppmだったと言われています。

右図は1900年から2014年までの世界の化石燃料由来のCO2排出量計算値です。右図は排出量ですが、大気中の総CO2濃度は1900年で約280ppm、2019年で約400ppmとなります。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200402

また、次図はホッケースティック曲線付近の年代を拡大した世界平均気温のグラフです。

このグラフの右側のホッケースティックはCO2の増加量と関係するようにみえます。しかしながらグラフ中央付近、1900年から1950年にかけての同様な温度上昇の原因が、人為的なCO2の増加によるものとはいえません。なぜなら、前図右よりこの期間は化石燃料由来のCO2は低レベルであり、且つほとんど増加していないからです。

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(疑義-2)都市バイアスによる気温上昇

日本では都市の環境変化が著しく、都市の気温変動には地球温暖化だけでなく都市化の影響が関わっています。地球温暖化と都市高温化とは、ともに人為的要因による昇温ですが、メカニズムも空間スケールも全く異なっていて、気温変動の実態を調べる上では両者の違いを意識した解析が求められます。

地球温暖化の監視にとって、観測地点周辺の都市化の影響は誤差要因(都市バイアス)になります。

都市バイアスが問題になる理由の1つとして、歴史の長い観測点の多くが都市やその近くにあるという事情があり、これは日本にも当てはまります。都市バイアスについては1980年代からさまざまな形で研究が進められ、全球の気温変化率の算定に当たって都市化の影響を補正あるいは回避する努力がなされてきましたが、必ずしも正確な補正がなされているとはいえません。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200404

日本の場合、東京などの大都市では過去100年間に2~3℃の昇温があり、都市化の影響は明らかです。

しかし、気候変動監視の観点からすると、大都市以外の気温データに都市バイアスが含まれるかどうかが問題になります。

気象庁の気候監視業務には15官署(網走、根室、寿都、山形、石巻、伏木、飯田、銚子、彦根、境港、浜田、宮崎、多度津、名瀬、石垣島)の気温データが使われていて、2019年までの100年間の平均昇温率は約。1.2℃と算定されています。これらの測定点は「観測データの均質性が長期間維持され、かつ都市化などによる環境の変化が比較的少ない」という条件で選ばれたものですが、その中には県庁所在地の地点も含まれていて、都市化の影響は完全には除去されていません。鳥取県境港市も島根県浜田市も、都市化がかなり進んでいます。また、北海道の寿都も、長野県の飯田も田舎のままではありません。

したがって、気象庁の「100年で約1.2℃上昇」には、大きな疑問符がつくわけです。電力消費やクルマ走行が空気を暖めない(人為的CO2の温暖化効果だけが効く)町など、今の日本にはないでしょう。

人里離れた山奥ならCO2の効果も検出できるでしょうが、山奥に観測所はありません。

次図左は三宅島の気温変化です。東京の気温上昇が約1.5℃だった1950年~2014年の65年間、180キロメートル離れた三宅島の気温はほとんど上がっていません。また、次図右は最近の論文の1つで、香港の都心と郊外を比べています。1989年~2015年の7年間に都心の気温が1℃近く上がった一方、郊外の気温は横ばいか下がりぎみに見えます。人間活動が出すCO2の温暖化効果が主に効くなら、どんな場所の気温も似たような形で時間とともに上がるはずです。そうなっていないところをみると、ホッケースティック曲線の急峻な部分は近年の都市バイアスがかなり大きく影響していると考えられ、「人為的CO2の温暖化効果」はさほど強くはないと思えてきます。

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(疑義-3)観測点の環境変化による気温上昇

気象庁がホームページに載せているデータを見ると、1876年~2014年の139年間、東京の気温は「100年で2.4℃上昇」したことになっていますが、2.4℃の半分以上は都市化のせいだと考えられます。

東京の観測点は2014年12月、千代田区大手町の気象庁構内から、皇居外苑(北の丸公園)に移設されました。移設後に測定値が1.4℃下がったといわれています。北の丸公園は、電力多消費のビル群からやや遠いうえ、交通量の激しい道路から離れた林の中にあります。その両方(都市化効果)が減って見かけの気温が下がったとみれば、都心の「温暖化」はおもに排熱が起こし、CO2の温室効果はわずかだったといえます。 次図は英国の気象庁のデータ(CET)です。

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年ごとの変動は激しいのですが、1975年ごろまでの300年間に0.3℃しか上がらなかった気温が、以後40年で0.5~0.6℃も上がったように見えます。1940年ごろまでのゆるやかな上昇は、人為的CO2と無関係な自然変動に違いありません。1975年以降の気温上昇は前のホッケースティック曲線拡大図に似ていますが、果たしてその主因は人為的CO2の温室効果なのでしょうか?

CETのおもな観測点は3か所だそうです。3か所とも、1970年代以降に都市化が進んでいれば、それが温度計の読みを上げたのかもしれません。

ところが、2017年1月、米国の気象予報士アンソニー・ワッツがブログで驚くような発見を報告しました。航空写真からみて、観測点の少なくとも一つは、1952年にできた園芸学系大学の2棟の建物に囲まれています。また、近くの温帯植物を育てる温室は、寒い時期の北風や西風をさえぎるばかりか、発熱源にもなります。出入りするクルマも発熱源です。英国気象庁が発表した季節ごとのCETデータをグラフ化してみると、春と夏の気温が「300年間で約0.3℃上昇」の延長上にある一方、寒い秋と冬の気温は、1970年代から1℃近くも上がっています。すると、前図右端あたりに見える「0.5~0.6℃上昇」は、やはり都市化のせいではないでしょうか。

 

(疑義-4)気温値の加工

米国のNCDC(National Climatic Data Center)とGISS(Goddard Institute for Space Studies)も、英国のCRU(Climatic Research Unit)も、気温の生データを加工してから「世界の気温グラフ」の素材にします。それをIPCC の関係者が、次図のような温暖化グラフにして報告書に載せました。

地球温暖化と温室効果ガスの検証-画像200407

GISSのホームページを見ると、加工する理由は次の4つだといいます。

1.温度の読み取り時刻を変えると測定値が動く(最高最低温度計で平均気温を出す前の時代なら、「午後読み」を「朝読み」に変えれば気温値が下がる)。

2.温度計や測定法を更新すると測定値が動く。

3.観測点を動かせば測定値が変わる。

4.近い観測点の気温は似ているとみて互いを補正する(均質化処理)。

1~3はわかりますが、「都市化の効果を補正するため」と称する4が納得しにくい加工です。

GISSは4の「近い」を「1200キロメートルまで」と考え、1200キロメートル圏内にある田舎と都市の気温変化を「よく似た姿」に調整するのだと言っています。

都市化は1960~70年から世界各地で激しく進みました。中都市や町村も例外ではありません。気温データに都市化の補正をするなら、都市化の分だけ「現在の年代に近い測定値を下げる」のが普通の感覚でしょう。しかしNCDCやGISSの加工後グラフはその逆で、過去の年代の測定値を下げた結果に見えます。

前図のグラフによると、1950年ごろまでの実測値(破線)を0.6~1.0でも下げたあと、時間を追って下げ幅を減らした結果、今世紀に入ってからは、実測値と加工後の値がほぼ一致します。気温上昇の主因を都市化とみた場合の逆向きなので、加工の理由の1~3が大きく効いていたともいえますが、具体的にどんな作業をしたのかは、調べても見つかりません(知っているのは作業者だけ?)。

米国では1930年代の猛暑が語り草になっているほどですから、前図実線の温暖化グラフに違和感を覚える米国人はずいぶん多いようです。

なおNCDCは、全世界のGHCN(Global Historical Climatology Network)に使う観測点を、1970年代の約5500か所から現在の2100か所へと減らしてきました。管理しにくい田舎の観測点を優先的に落とし、それが「見かけの温暖化傾向」を強めたのかもしれません。

次図は都市化の影響を除くためにNOAA(National Oceanic and Atmospheric Administration)が田舎(無人地帯)の月ごとの気温偏差を測定したグラフです。まだ14年間ですから即断はできませんが、気温はほとんど変わっていないように見えます。都市化もデータ加工もない地上の気温は、自然変動(後述)と人為的CO2の影響でほんの少しずつ上がるだけなのでしょう。二つがどれほどずつ効くのかは、今後数十年でわかると思います。

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(疑義-5)80年前も現在と同じように暑かった

2014年12月22日、ストックホルム/スウェーデンでフィンランド気象庁が次のような発表をしました。

「北欧フィンランドの気温が過去166年間に、世界平均のほぼ2倍のペースで上昇していたことが分かった。地球温暖化の影響は高緯度ほど大きいとの説を裏付けるものとなった」。フィンランド気象庁によると、同国の平均気温は1847年から2013年までの166年間で2℃以上も上昇して、10年ごとの気温上昇は平均0.14℃で、世界平均のほぼ2倍だということでした。

ところが、当該論文を見ると、1940年前後の気温は2000年以降と同じほど高かったのです。

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さらに下図のとおり、アイスランドでも1940年前後の気温は2000年以降と同じほど高かったのです。

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その他グリーンランドども同様であり、北半球高緯度全般で1940年前後の気温が2000年以降と同じほど高かったことになります。なお、前出の米国本土の実測値でも同様な傾向が確認できます。

(疑義-1)章の図でもわかるように、CO2の排出は20世紀後半に激増しましたから、「この濃度の急上昇により、近年の温暖化は説明できる」のなら、21世紀の北半球高緯度は20世紀前半よりもはるかに気温が高いはずです。ところが、20世紀前半と大差ありません。「(CO2の排出に因る)地球温暖化の影響は高緯度ほど大きい」のなら、北半球高緯度の気候変動とCO2排出との因果関係は弱い、という皮肉な結果になってしまうのです。

さらに(疑義-1)章で示しましたホッケースティック曲線の1900年以降をみると、加工値の問題を無視すれば、確かに、全球平均気温では21世紀が20世紀前半よりも0.4℃高くなっています。

しかし、CO2排出の影響が一番大きいはずの北半球高緯度ですら、CO2の影響が明白に認められないのですから、「この濃度の急上昇により、近年の温暖化は説明できる」はずがありません。「かも知れない」ではなく、確かに「温暖化の原因はほかにある」ということになります。

北半球高緯度の気温を見れば、少なくとも、20世紀前半までの気温上昇は自然要因であり、従って、次の結論が下せます。「CO2の排出に因る気温上昇は、最大にみても、1940年前後と2000年以降の気温差0.4℃である」ということです。これに「都市バイアス」と「データ加工」の問題が加われば、0.4℃さえも怪しくなります。

 

次回は、太古の時代からの地球の気温の変化、CO2量の変化に関して、また北極、南極の氷、氷河の後退などについて調べてみるつもりです。

<参考・引用資料>

「日本の気候の長期変動と都市化」2010年度日本気象学会賞受賞記念講演 藤部文昭

「不都合な真実 」アル・ゴア(著)、枝廣 淳子(訳)、 実業之日本社文庫

「地球温暖化の不都合な真実」マーク・モラノ(著)、渡邊 正(訳)、日本評論社

「地球温暖化狂騒曲・社会を壊す空騒ぎ」渡辺 正(著)、丸善出版

「地球温暖化・CO2犯人説は世紀の大ウソ」丸山茂徳、戎崎俊一、川島博之。デビッド・アーチボルト、ほか、宝島社

「論文:地球温暖化の太陽活動原因説」松田卓也、あすとろん第3号(NPO花山星空ネットワーク)、「RealCrazyClimate」ホームページ