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地球科学と生命の誕生・進化(14)<中生代の地球環境と生命活動(2)>

前月は、顕生代の中の中生代(約2億5千万年前~6千6百万年前)の地球環境と生命活動について、 調べました。内容は、(1)中生代初期の三畳紀にはすでに「哺乳類と恐竜の誕生」が確認できたこと、 (2)ジュラ紀、白亜紀は、酸素濃度は低かったが温暖な気候が続き「恐竜やその他爬虫類が大型化」し ていったこと、(3)超大陸の出現により、「恐竜がさらに進化し、地球上に拡散」したこと・・・などの お話をさせていただきました。

今月は、読者の皆様も概略はご存じだと思いますが、「中生代末期(白亜紀)の天体衝突と寒冷化に よる恐竜の絶滅」について、種々の学説を含めて調べてみましたので是非ご一読ください。

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顕生代の代区分と紀区分の関係(NeoMag作成)

 

[中生代の地球環境と生命活動(2)-1]恐竜の絶滅と天体衝突

恐竜は、三畳紀の初めから白亜紀末までの約2億年という長期間にわたって、地球上に君臨しました。 ところが、今から約6600万年前、突然、(現在の鳥類につながる系統を除いて)すべて姿を消しました。 恐竜だけではありません、翼竜や首長竜、モササウルス、古生代から長らく繁栄したアンモナイトなど も完全に絶滅しました。

また、二枚貝類、腕足類、苔虫類、円石藻や有孔虫などの多くの種も絶滅しました。このとき、種の レベルで最大約75パーセントが、一斉に絶滅したとされています。白亜紀/古第三紀(K/Pg)境界にお ける大量絶滅イベントです。

1980年、ノーベル賞受賞者の物理学者ルイス・アルヴァレスと地質学者であるウォルター・アルヴァ レスの親子は、白亜紀/古第三紀境界の地層中にイリジウムなどの白金族元素が異常農集していること を発見し、「直径10キロメートル程度の小惑星が地球に衝突したことによって地球環境変動が引き起こ され、恐竜を含む多くの生物種の絶滅が引き起こされたのではないか 」とする仮説を提唱しました。こ の主張は、文字どおり“天地異変”が起こったとするものであり、それまでの地質学的な世界観を覆す 画期的なものでしたが、その分、長い論争が続くことになりました。

この仮説が正しければ、天体衝突によって衝突クレーターが形成されるはずですが、このときの衝突 クレーターの存在は不明でした。

しかし、1991年、現在のメキシコのユカタン半島北東部のチクシュルーブ村で、このクレーターは見 つかりました。なんと地下1~2キロメートルに埋没していたのです。「チクシュルーブ・クレーター」 と名付けられたこの衝突クレーターは、直径が170~200キロメートルという巨大なものでした。

 

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天体の地球上への衝突(想像図1)

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天体の地球上への衝突(想像図2)

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天体が衝突したユカタン半島

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チクシュルーブ・クレーター

 

天体衝突によって地衣から巻き上げられた大量の塵が大気上層を覆い、日射を遮ることによって光合 成活動が停正し、食物連鎖によって当時の生態系の頂点に立つ恐竜までもが絶滅したとする「衝突の冬」 仮説が恐竜絶滅の原因としてよく言われます。実際、有孔虫の絶滅パターンをみると、海洋無酸素イベ ントによる絶滅パターンとは対照的に、海洋表層に棲んでいる浮遊性種は大部分が絶滅したのに対して、 海洋中層から深層の海底に棲んでいる底生種についてはあまり絶滅しておらず、衝突の冬仮説と調和的 であることが知られています。

ただ、塵の影響は数カ月程度しか続かないと考えられているため、衝突の冬仮説が本当に正しいのか どうかについてはよく分かっていません。天体衝突が大量絶滅を引き起こすきっかけになったことはも はや疑う余地はありませんが、大量絶滅のメカニズムそのものについては、じつはいまだに解明されて いないのです。

 

[中生代の地球環境と生命活動(2)-2]チクシュルーブ衝突体の起源

<小惑星帯からの飛来説>

1998年に、白亜紀-古第三紀境界にまたがる堆積物から北太平洋から2.5mmサイズの隕石が発見され、 分析により、それが CV、COおよびCR炭素質コンドライトを含むことから、チクシュルーブ・インパク ターの断片を表すことが示唆されました。

2007年9月、Nature誌にチクシュルーブ・クレーターを作成した小惑星の起源が提案されました。著 者のWilliam F.Bottke、David Vokrouhlický、David Nesvornýは、1億6000万年前の小惑星帯での衝 突により生成された衝突体であると主張しました。ボットケによれば、チクシュルーブ・インパクター は直径約170km(106mi)のはるかに大きな親体の断片であり、他の衝撃体は直径約60km(37mi)で あるとしました。

2011年、広視野赤外線サーベイエクスプローラーのデータにより、衝突の日付が約8000万年前に修 正されました。これにより、前述の小惑星がチクシュルーブ・クレーターを作った小惑星である可能性 は非常に低くなりました。通常、小惑星の共鳴と衝突のプロセスには数千万年かかるためです。代わっ て 2010年に新たに発見された小惑星354P/LINEARは小惑星のフローラ族であり、これを衝突体の残りの 群である可能性として示唆する別の仮説が提示されました。

その後、4つの独立した研究所がクレーターの周囲でイリジウムの濃度が上昇していることを示し、 小惑星衝突仮説をさらに裏付けました。クロムの同位体54Crの過剰や、海洋衝撃層に見られる白金族金 属の比率などの地球化学的証拠に基づいて、衝突体はCMまたはCR炭素質コンドライトであることが示 唆されました。2021年7月の研究によると、数値シミュレーションに基づいて、「衝突体は小惑星帯の 外側から発生した可能性もある」とされています。

 

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小惑星帯外側の隕石が地球に飛来、衝突

 

<破壊された彗星の断片説>

宇宙から飛来した天体が、6600万年前に現在のメキシコに衝突し、恐竜を絶滅に追い込んだ。その天 体の起源は謎のままでしたが、2021年2月15日、ハーバード大学の宇宙物理学者が新たな説を発表し ました。「恐竜を絶滅させたのはこれまで考えられていたような小惑星ではなく、太陽に近づきすぎた 彗星(サングレーザー)の破片だった可能性がある」というのです。

約6600万年前、直径約10キロメートルの天体が地球に衝突しました。現在のメキシコにあたる場所 です。その衝撃は大規模な山火事や巨大な津波を引き起こし、何十億トンもの硫黄を大気中に放出しま した。そのガス状の霞が太陽光を遮って地球を冷却し、恐竜をはじめとした地球上の全生物の75%を絶 滅させました。しかし、チクシュルーブと名付けられたこの天体の起源は謎のままだったのです。

多くの説では、巨大な小惑星であるとされてきました。このような小惑星は、火星と木星の軌道の間 でリング状に集中して存在しています。しかし、発表された論文では、ハーバード大学の宇宙物理学者 らが、チクシュルーブは小惑星ではなく、木星の重力の影響を受けて太陽のかなり近くまで接近して崩 壊した彗星の破片だった可能性があるという説を唱えました。

NASAによると、小惑星と彗星はいずれも「スペース・ロック」に分類されますが、重要な点で違いがあ ります。彗星は太陽系外の氷や塵で形成され、一般的に小さくて動きが速いのに対し、岩石のような小 惑星はより大きく、動きが遅く、太陽に近いところで形成されます。

「太陽に接近したことで崩壊した物体により、恐竜を絶滅させるほどの衝撃をもたらすイベントが発 生する確率が高まると考えている」とハーバード大学の宇宙物理学者であり、論文の共著者であるアヴ ィ・ローブ(Avi Loeb)は、プレスリリースで述べました。

ただし、これに続いて、同じ年の6月にAstronomy&Geophysicsに発表された反論があり、この論文 は衝撃によって世界中に堆積したイリジウムの質量(約2.0〜2.8x1011グラムと推定)を無視したと非 難しました。これらは大きすぎて彗星インパクターで作成できないという主張です。

 

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太陽に接近した巨大彗星・サングレーザー(想像図)

 

<小惑星か彗星か、まだ結論は出ていない>

恐竜を滅ぼしたのは小惑星ではなく彗星だと考える科学者は、シラジとローブだけではありません。 2013年にダートマス大学の研究者グループも、高速で移動する彗星がチクシュルーブのクレーターを作 った可能性を示唆しました。しかし、アリゾナ州の惑星科学研究機関のシニア・サイエンティスト、ナ タリア・アルテミエワ(Natalia Artemieva)は、サングレーザー(太陽に近づいた彗星)から生じた彗 星の破片では、チクシュルーブのクレーターを作るには小さすぎるだろうと、ニューヨーク・タイムズ に語りました。また、コロラド州サウスウエスト研究所の惑星科学者ビル・ボトケ(Bill Bottke)は、 この研究はサングレーザーの頻度を過大に見積もっており、その結果、発生する彗星の破片の量も過大 に算出されていると指摘しています。

「これまでのエビデンスによれば、チクシュルーブが小惑星であったという説が有力ではあるが決定 的なものではない」とボトケはニューヨーク・タイムズに語りました。「もしどうしても彗星であると言 いたいのであれば、まだ検討の余地はある。ただ、それを証明するのはとても難しいだろう」と述べて います。

しかし、シラジとローブは、チクシュルーブのほか、南アフリカやカザフスタンなどのクレーターの 奥深くで発見された物質によって、この説は裏付けられると主張しています。その物質とは「炭素質コ ンドライト」であり、これは彗星が由来となっている可能性があります。小惑星帯から飛来した小惑星 のわずか 10%が炭素質コンドライトで構成されているのに対し、この物質は「彗星に広く分布している 可能性がある」と、両著者は論文に記述しています。

 

[中生代の地球環境と生命活動(2)-3]その他の恐竜絶滅説

<寒冷化による漸進的絶滅説>

約6600万年前の恐竜の大絶滅は、イリジウムに富む地層の汎世界的な分布と、チクシュルーブ・クレー ターの発見から、隕石衝突により引き起こされたと考えられています。しかし、恐竜の絶滅は6600万年 前以前からすでに進行していて、1個の隕石の衝突による瞬時の絶滅現象でないことは、古生物学者た ちによって以前から指摘されてきました。

実は、深海堆積物中に残されたイリジウム濃度は、隕石衝突時だけでなく、それに800万年先行して有 意に高い値を示しているということが観察結果として得られています。恐竜の種の数は、隕石衝突の前 から減少し始めていました。その流れに、最後のとどめをさしたのが隕石衝突だったのです。

イリジウム濃度が隕石衝突以前から高い値であったことの原因は、太陽系の「暗黒星雲」との衝突で うまく説明できます。 太陽系の暗黒星雲との衝突によって、地球では急激な寒冷化と光合成植物の活動 低下が起きたはずです。こうした環境変動が恐竜大絶滅の根本的な原因だということです。

 

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白亜紀末の寒冷化(ガスの科学・ブログ:NeoMag 編集)

 

前述しましたように、ペルム紀末と同様、白亜紀後半に太陽系は暗黒星雲と衝突しました。太陽系が 暗黒星雲の内部を通過したため、大量の宇宙線が地球に降り注ぐこととなりました。

天の川銀河の内部には多くの暗黒星雲(分子雲)が分布しています。暗黒星雲は高密度・低温の星間ガ スからなり、大きさは約0.2~174pc(パーセク)(1pc=約3.26光年)の広がりを持っています。太陽系は 誕生から現在に至るまで、何度も暗黒星雲に遭遇していると推定されていて、遭遇の頻度は、1億年に1 回程度だと考えられています。そのおおよそのサイクルは前図の寒冷化サイクルでも確認できます。

こうして繰り返される大量絶滅は、宇宙と私たちが深いつながりを持っていることを再三伝えていま す。それは寒冷化や大量絶滅を引き起こすだけではなく、宇宙線は生命を形づくるDNAにも直接作用 し、突然変異を引き起こすことによって進化を促すのです。

なお、原生代からの何回かの「全球凍結(スノーボールアース)」やそれ以降の地球規模の寒冷化も このような太陽系の移動と宇宙線が原因ではないかとされています。(“銀河宇宙線と雲の量”について は、[NeoMag 通信5月号-原生代の地球環境と生命活動(1)-7]をご参照ください。)

 

<火山噴火による絶滅説>

「恐竜絶滅の理由はメキシコに落下した隕石ではなく、インドで発生した大規模な火山の爆発だっ た・・・」。この説を裏付ける研究結果が 2007年11月10日に発表されました。

スイスとアメリカが共同で行った研究で、インドのデカン玄武岩 (デカン・トラップ)を形成した火 山噴火の時期がより正確に定められ、恐竜の絶滅時期に近いことがわかりました。

ヌーシャテル大学地質学教授のティエリ・アダッテ氏は、「今日では、恐竜の絶滅を招いたのは火山 活動だという説が有力になってきています」と語りました。ただし、「まだ確実なことは言えない」と の補足付きです。アダッテ氏は、アメリカのデンバーで開かれたアメリカ地質学協会の年次会議で、プ リンストン大学のゲルタ・ケラー氏とともに彼らの研究チームが得た結果を発表しました。

 

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火山噴火と恐竜絶滅(想像図 1)

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火山噴火と恐竜絶滅(想像図 2)

 

「インドで起こった大規模な火山の噴火がおそらく恐竜の絶滅を招いたのだろう、という説は20年近 く前からありました。今回、私たちのチームはデカン・トラップの中心から約1000キロメートル離れた ところで、溶岩と玄武岩の間に極小の化石を含んだ海成堆積物を発見しました。そして、この化石をも とに噴火の時期をより正確に限定することができたのです。」と発表しました。恐竜が絶滅したのは 6600万年前ですが、研究者たちは集中的な噴火の時期がその頃の30万年間と重なると推測しています。

 

一方、中米のユカタン半島にチクシュルーブ・ クレーターを形成した小惑星は、恐竜の絶滅が引き 起こされる 30万年ほど前に落下していました。数年前までは、この小惑星が大火事を引き起こし、空が 塵で覆われた結果、恐竜は食物を失って絶滅に追いやられたと考えられていました。

アダッテ氏はこの説を根本から覆す気はないし、また覆すこともできないようです。白亜紀末期に落 下した隕石の影響をすっかり取り去ることはできないのは確かです。しかし、「絶滅を招くには規模が 少し小さ過ぎるようで、絶滅にはもっと大規模のものが必要です。猛烈な火山活動が起これば、絶滅は 十分に起こりえたでしょう」。そう語るアダッテ氏は、これからデカン高原の溶岩をさらに詳しく調査 しました。その後、火山噴火によってもイリジウムの異常密集が確認できることや、2015年に発表され た研究成果によると、隕石の落下が溶岩流出の原因となった可能性についても示唆しています。

 

<酸性雨による絶滅説>

チクシュルーブ・インパクトによって巻き上げられた砂塵等が地球の空を覆い、太陽光が遮られるこ とで、草木は息絶え、それを主食とする草食動物も連鎖的に生存が不可能となりました。一説によると、 数年近くこの状態が続いたといいます。「地獄」以外の言葉では形容できないような凄惨な状況下で、 およそ80パーセントの生物が絶滅に追い込まれたといいます。

しかしながら、その80パーセントという数字には、多くの疑問符が投げつけられてきました。確かに 隕石が及ぼした影響は計り知れないほどに凄まじいものの、そもそも短期的な災害(津波・地震等)によ り完全に死滅した生物はそこまで多くなかったし、決定打と言われる気候変動も生物の80パーセントを 消し去るほどのパワーは待ち得ないのです。

れに何よりも我々は生命の力強さを知っています。かつてダーウィンが述べたように、生き物には 環境に適応するための変異が起きる。これは誰もが知っていることです。だが、より短期的かつ集中的 に生物を絶滅させた原因があるはずだ・・・多くの学者はそう信じ、これまでに多くの仮説を立ててき た。そして最近になって、非常に有力な新説が囁かれるようになりました。

その説は生物の8パーセントを絶滅に追いやったのは酸性雨である、としているのです。酸性雨は pH5.6以下の雨のことを指します。ただし、広義にはその性質を持つあらゆる降下現象(ガス・霧等)が その定義に含まれます。

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火山噴火による酸性雨のメカニズム(地球惑星科学への招待:九州大学)

火山の噴火が起こると、大気中に火山灰・塩酸・二酸化硫黄などを注入します。固体や液体成分は雨や雪によって比較的短い時間で大気中から除去されますが、 気体成分の二酸化硫黄は大気中の水酸基と化学反応を起こして硫酸エアロソルを作り、下部成層圏に長い時間留まります。 硫酸エアロソルは太陽入射を反射・吸収して太陽入射を減少させる日傘効果と、地球の赤外放射を吸収する温室効果によって気候に大きな影響を及ぼします。

 

隕石の落下によって硫黄などの酸性雨の原因になりうる物質が空気中に大量放出されました。その影 響もあって、衝突から一週間は硫酸ほどの酸性度を持つ強烈な雨が降り続いたといいます。その地獄の 一週間が終わったとしても、かなり酸性度の強い雨が降りしきったことに変わりはありません。これに よって地球の海は酸性化し、その状態は約3年間に渡って不変であったのです。

また、大規模な火山噴火による酸性雨の降り注ぎも考えられ、前項の「火山噴火絶滅説」とも関係し てくる可能性も言われています。

我々も恐竜の絶滅に学ぶことは多いのです。なぜなら、今日の地球もまた、酸性雨をはじめとした 数々の異常気象に犯されているからです。酸性雨は硫酸ほど強くはないにしろ、継続的な環境へのダメ ージは計り知れません。

 

以上、これまで「恐竜の絶滅」についてお話をしてまいりましたが、いずれにせよ、恐竜が繁栄した 中生代が終わりを告げたことによって時代は大きく転換することになります。現在まで続く哺乳類の繁 栄する時代、新生代が訪れることになるのです。私たち人類の繁栄も、この出来事がなければあり得な かったかもしれません。天体衝突という“確率的”な現象が、地球の歴史を大きく変えるきっかけにな ったことを考えると、これは歴史が持つ予測不能性の一面を象徴するできごとだったといえるでしょう。

 


 

今月は、中生代/白亜紀末期の「恐竜の絶滅と天体衝突」についてお話をさせていただきました。 どうやら、衝突した天体の正体についてもまだ明確な結論は出ていないようですし、また、天体衝突だ けが「恐竜絶滅」の原因ではなさそうです。未来の地球にも再びふりかかる出来事かもしれませんので、 今後の研究の進展が興味深いですね。

次回からは、恐竜絶滅後の6600万年前から現代までの「新生代」のお話に入っていきます。

 

<参考・引用資料>

◆Web

「恐竜が絶滅した理由」ブログ:恐竜のしっぽ

https://www.dino-tail.com/study/sho04/sho0402zetumetu.html

「巨大衝突クレーターの形成過程が明らかに」nature ダイジェスト vol.14 No2 (nature 2016.11.24)

https://www.natureasia.com/ja- jp/ndigest/v14/n2/%E5%B7%A8%E5%A4%A7%E8%A1%9D%E7%AA%81%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%82%BF%E 3%83%BC%E3%81%AE%E5%BD%A2%E6%88%90%E9%81%8E%E7%A8%8B%E3%81%8C%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3% 81%AB/82478

「恐竜絶滅に新設!・・・」サイエンスジャーナル 2012.04.22

http://sciencejournal.livedoor.biz/archives/3961982.html

「恐竜を絶滅させた小惑星の物質をクレーター内で発見」AstroArts 2023.11.18

https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11871_chicxulub

「恐竜絶滅の原因は"酸性雨"にあり?! 新有力説の全貌に迫る (#24)」仁大ばなし 2023.09.10

https://note.com/nidai_banashi/n/n7b70b3cc221a

「チクシュルーブ・クレーター」フリー百科事典:ウィキペディア 更新 2023.10.27

「恐竜を絶滅させたのは、小惑星ではなく彗星だったかもしれない」BUSINESS INSIDER 2021.02.24

https://www.businessinsider.jp/post-229882

「Breakup of a long-period comet as the origin of the dinosaur extinction」nature/sscentific reports 11, Article number: 3803 (2021) 2021.02.15

https://www.nature.com/articles/s41598-021-82320- 2?utm_medium=affiliate&utm_source=commission_junction&utm_campaign=CONR_PF018_ECOM_GL_PHSS_A LWYS_DEEPLINK&utm_content=textlink&utm_term=PID100024933&CJEVENT=31d60ba6874311ee8392f0170a1 cb82a

「Comet or asteroid: What killed the dinosaurs and where did it come from?」ハーバード大学 プレスリリース 2021.02.15

https://phys.org/news/2021-02-comet-asteroid-dinosaurs.html

「歴史上で巨大彗星となり太陽に大接近のサングレーザー天体まとめ」Cosmo Libreary 2015.11.14

https://cosmolibrary.com/%E5%BD%97%E6%98%9F/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%BC%E3 %82%B6%E3%83%BC%E5%A4%A9%E4%BD%93%E3%81%BE%E3%81%A8%E3%82%81/

「恐竜絶滅の原因は火山の爆発?」SWISSINFO.CH 2007.11.10

https://www.swissinfo.ch/jpn/sci- tech/%E6%81%90%E7%AB%9C%E7%B5%B6%E6%BB%85%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AF%E7%81%AB%E5%B1 %B1%E3%81%AE%E7%88%86%E7%99%BA-/6232584

「恐竜絶滅、火山と隕石の複合原因?」NATIONAL GEOGRAPHIC News 2013.01.14

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/7552/

「恐竜絶滅 酸性雨も原因?寒冷化に加え有力な説に」草塩拓郎 日本経済新聞 2019.12.01

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52769240Z21C19A1MY1000/

「恐竜絶滅、隕石衝突後の酸性雨が原因か 千葉工業大学など実験」Nature Geoscience 2014.03.09

https://www.huffingtonpost.jp/2014/03/09/dinosaur_n_4932224.html

「火山噴火が気候に及ぼす影響について」地球惑星科学への招待 守田治(九州大学理学研究院)

http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/publications/special_exhibitions/PLANET/05/05-8.html

「天の川銀河が周期的に地球にもたらす大量絶滅とは?」SORAE 2020.12.15

https://sorae.info/astronomy/20201215-milky-way.html

「太陽系の銀河内軌道変化と地球の寒冷化」辻本拓司(国立天文台)ニュートリノ研究会 2021.01.07

https://www.lowbg.org/ugap/ws/sn2021/slides/802tsujimoto.pdf

◆書籍・文献

「46 億年の地球史」 田近英一 著 発行元:三笠書房

「地球と生命の誕生と進化」 丸山茂徳 著 発行元:清水書院

「地球と生命の46億年史」 丸山茂徳 著 発行元:NHK出版

「地球生命誕生の謎」ガルゴー他 著 発行元:西村書店

「地球・惑星・生命」日本地球惑星科学連合 編 発行元:東京大学出版会

「生物はなぜ誕生したのか」ピーターウォード、他 発行元:河出書房新社