同じ磁石材質でも多数のグレードがあり、そのグレードによって磁力や耐熱性が変化します。
ここでは、ネオジム磁石を例として説明いたします。
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数字が大きいほど磁力が上がる傾向にあります。 |
末尾にアルファベットが記載されているものは、耐熱性が上がる傾向にあります。 |
※耐熱性とは限界使用温度に影響します。
材質記号を選択する際に重要なことは、使用温度環境と磁石の強さです。
磁化方向とは磁石には様々な着磁パターンがあり、N極・S極の向きを表す。
大まかには以下のような基準があります。
高さ方向高さ方向にもっとも強く磁力が出ており、もっとも強く吸着する方向になります。
径方向直径方向にもっとも強く磁力が出ており、もっとも強く吸着する方向になります。
角形(角型磁石は全て長さLx幅Wx高さHにて表記しており、磁化方向について必ず末尾の高さH方向となります。)
その他、両面多極や片面多極等ございますが、まずは上記3パターンの磁石にてお試し頂くことをオススメ致します。
ネオジム磁石
錆びやすい性質があり、そのために一般的には表面にニッケルメッキを施しています。
防錆対策でニッケルメッキ等の表面処理を施していますが、完全では無いため錆びてしまうことがあります。
サマコバ磁石
磁石素材のままでも錆びにくいため、基本的にメッキ等の表面処理はしてありません。
小さいカケを防止するために、表面処理を施す場合もあります。
フェライト磁石
酸化鉄を主原料にしているため、錆び等の腐食の心配はありませんので、屋外等の高湿度環境下でも安定してお使いいただけます。
錆びに強い為、表面処理を施していないこともあり、多少粉が付いていることがあります。
アルニコ磁石
磁石素材のままでも錆びにくいため、基本的にメッキ等の表面処理はしてありません。
表面磁束密度とは
磁石表面1平方センチあたりに出てくる磁力線の量は表面磁束密度と定義され、ガウス(Gauss)又はテスラ(Tesla)という単位で表します。
例えば、5,000ガウスの場合、磁石表面1平方センチあたり、磁力線が5,000本出ているということになります。
「テスラ」と「ガウス」の違いは、表記単位が違うだけです。
テスラがSI単位
ガウスがCGS単位
1テスラ=10,000ガウスとなっております。
CGS単位とSI単位変換ツール
円柱型 高さ方向 |
ネオジム磁石 N40材(標準) |
ネオジム磁石 N52材(高材質) |
サマコバ磁石 標準材 |
フェライト磁石 標準材 |
Φ3x3(mm) |
4007G |
4548G |
3355G |
1240G |
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円柱型 高さ方向 |
ネオジム磁石 N40材(標準) |
ネオジム磁石 N52材(高材質) |
サマコバ磁石 標準材 |
フェライト磁石 標準材 |
Φ10x5(mm) |
4118G |
4674G |
3448G |
1275G |
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表面磁束密度は数値が大きいほど、強い磁石と言えます。
寸法を変更せずに、表面磁束密度を強くしたい場合は、より強い磁石材質への変更をおすすめします。
フェライト磁石であった場合は、ネオジム磁石への材質変更、ネオジム磁石の場合は、材質記号を標準材から高材質への変更。
但し、弊社に在庫として無い商品の場合、特注品扱いとなり、在庫品に比べ価格は上昇します。
吸着力とは
厚みの十分ある鉄板(SS41鉄板厚み10mm以上、面仕上げ10S)に磁石を吸着させ鉄板に対して磁石を垂直に引っ張ります。
磁石が鉄板から離れた瞬間の引っ張る力が磁石の吸着力と見なされます。
円柱型 高さ方向 |
ネオジム磁石 N40材(標準) |
ネオジム磁石 N52材(高材質) |
サマコバ磁石 標準材 |
フェライト磁石 標準材 |
Φ3x3(mm) |
0.33kgf |
0.42kgf |
0.23kgf |
0.03kgf |
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円柱型 高さ方向 |
ネオジム磁石 N40材(標準) |
ネオジム磁石 N52材(高材質) |
サマコバ磁石 標準材 |
フェライト磁石 標準材 |
Φ10x5(mm) |
2.39kgf |
3.07kgf |
1.67kgf |
0.23kgf |
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吸着力の数値が大きいほど、強く吸着します。
商品によっては、吸着力が10Kgを超える物も数多くございます。
磁石と磁石または磁石と磁性体(ハサミやカッター等)の間には、非常に強い吸着・吸引力が働きます。
その間に指、手、腕等を挟んだ場合、吸着力によっては容易に引き剥がす事ができないため、骨折など重大な怪我をする場合もございます。
※恐れ入りますが、お客様のお取り扱い中での破損、けが、損失については、弊社では一切責任を負いかねますので、予めご了承ください。
フック付き製品の吸着力も同様に、垂直方向に引っ張り、鉄板から離れた瞬間の吸着力を表記しております。
しかしながら、フック付き製品の場合、「壁付け」、「吊り下げる」等のご使用方法が多いかと思います。
そのような場合、滑り方向への力が働き、表示吸着力の5-6分の1程度の力となってしまいます。
当社製品:HN25
吸着力:20kgf
青色の矢印方向へ引張り、鉄板から離れた瞬間の吸着力が、20kgfです。
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当社製品:HN25
吸着力:3.3〜4.4kgf程度
オレンジ色の矢印方向へ負荷がかかるような「壁付け」「吊り下げる」等の場合は滑り方向への力が発生します。
一般的には、垂直方向への力の5-6分の1程度の力と言われております。
つまり、当社表記吸着力20kgfを滑り方向へ使用する場合は、3.3-4kgf程度の吸着力とお考えいただく必要があるようです。
なお、吸着対象材質、吸着面、密着度、表面状態、吸着面積、板厚等、様々な環境によっても、吸着力は変動します。
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滑り方向への力は、フック付き製品に限らず全ての磁石に共通したメカニズムです。
よって他形状の磁石を滑り方向にて使用する場合も、表示された吸着力の5-6分の1程度になります。
吸着力:距離がある場合
一般的に磁石の使用方法として多いのが、「メモ用紙等を挟んで貼り付ける」だと思います。
この場合、磁石の吸着力はもちろん滑り方向への力と吸着対象物と磁石の距離にも考慮が必要となります。
磁石と吸着対象物の距離が離れますと、吸着力は表示されている数値よりも低下します。
対象物と磁石の距離が離れれば離れる程、吸着力は低下します。
円柱型 N40材 |
距離 0mm |
距離 1mm |
距離 3mm |
距離 5mm |
Φ10x5(mm) |
2.36kgf |
1.55kgf |
0.53kgf |
0.17kgf |
Φ10x10(mm) |
3.81kgf |
2.42kgf |
0.82kgf |
0.27kgf |
Φ20x5(mm) |
4.93kgf |
4.24kgf |
2.79kgf |
1.65kgf |
Φ20x10(mm) |
9.63kgf |
7.81kgf |
4.90kgf |
2.83kgf |
数値は計算値であり、保証値ではありません。
更に、使用方法が「壁付け」になるので、滑り方向への力も考慮しなくてはなりません。
下記は、社内にある書庫にコピー用紙(厚さ0.09mm)を磁石1個で何枚まで、保持することができるかを実験した結果です。
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円柱型 N40 Φ10x5(mm) |
円柱型 N40 Φ10x10(mm) |
円柱型 N40 Φ20x5(mm) |
円柱型 N40 Φ20x10(mm) |
枚数 |
23枚 |
28枚 |
39枚 |
57枚 |
およその距離 |
2.07mm |
2.52mm |
3.51mm |
5.13mm |
距離に対する吸着力 |
0.89kgf |
1.08kgf |
2.46kgf |
2.73kgf |
滑り方向に対する吸着力 |
0.15kgf |
0.18kgf |
0.41kgf |
0.46kgf |
吸着力の数値は計算値であり、保証値ではありません。
この実験結果は、あくまで社内において行った結果であり保証はできません。
吸着対象物や紙質等、様々な要因によって保持できる枚数は変わります。
予めご理解ください。
各商品毎に、限界使用温度があります。
限界使用温度=耐熱温度です。
限界使用温度を超えた場合の表面磁束密度及び減磁率は推測できません。
耐熱性 高温時 |
ネオジム磁石 標準材 |
ネオジム磁石 耐熱材 |
サマコバ磁石 標準材 |
フェライト磁石 標準材 |
磁石寸法 Φ10x10(mm) |
105℃ |
200℃ |
350℃ |
250℃ |
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フェライト磁石は、極度の低温になると低温減磁します。
ラバーマグネットについて
ゴム類の耐熱性が低い為、いずれのラバーマグネットでも、80〜100℃以上のような高温度使用には不向きです。
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使用する温度環境に合わせた限界使用温度の製品を選択すること。
限界使用温度を超える温度環境では使用しない。
寸法を変更せずに、耐熱性を上げたい場合は、より耐熱性の強い磁石材質への変更をおすすめします。
ネオジム磁石であった場合は、サマコバ磁石または耐熱性の強い材質記号への変更。
但し、弊社に在庫として無い商品の場合、特注品扱いとなり、在庫品に比べ価格は上昇します。
フェライト磁石
酸化鉄を主原料にしているため、錆び等の腐食の心配はありませんので、雨、水、等の高湿度環境下でも安定してお使いいただけます。
現状では水中や屋外での磁石使用はフェライト磁石が一番適しております。
サマコバ磁石
ネオジム磁石と比較した場合は、サマコバ磁石の方が錆びにくいのですが、水中や屋外での積極的な継続使用には不向きです。
水中で継続使用した場合、一ヶ月以内に錆びが発生する場合もあります。
錆びは減磁(磁力低下)・破損の原因になります。
ネオジム磁石
特に錆びやすいネオジム磁石は、水中及び屋外での使用には不向きです。
ニッケルメッキ済み製品であっても、水中で継続使用した場合、一週間以内に錆びが発生する場合があります。
そのため、極力水気・高温多湿の場所を避ける必要があります。