■ 西暦1885年~1899年: 電子の発見=素粒子の最初の発見
1885年頃、真空ポンプをガイスラーと共に発明したドイツのブリュッカーは真空のガラス管の中に電極を付けて電圧をかけると放電が起き発光することと、磁石を近づけると発光部分が移動することを発見しています。このことは後に電子の発見につながるわけですが、真空技術の発展が、一方では白熱電球の進歩を促し、他方では素粒子の発見と原子物理学の誕生を促したといえます。
1887年イギリスのウィリアム・クルックスは高性能な真空ポンプを使って、クルックス管の中の十字型の金属板の影が反対側のガラス面に映ることを発見し、陰極から放射線のようなものが飛び出していることを予測しました。1897年イギリス王立研究所のジョセフ・ジョン・トムソンはこの陰極線が磁石の磁界だけでなく、電界の影響も受けることをつきとめ、この陰極線は負の電荷を持った粒子であると結論づけています。その後ローレンツによって、この粒子が電子(エレクトロン)であると定義されました。トムソンはその後電子の物理量の測定に没頭し、1899年電子の質量は水素イオンの1800分の1であり、従って電子は原子の一部を構成する微小な粒子であることを発見したのです。このことにより、トムソンは原子は単純な一粒子ではなく、多数の微小粒子で構成されていると主張しました。この微小粒子が現在の素粒子であり、電子の発見は素粒子の最初の発見になったわけです。
クルックス管
(インターネットセミナー:ミクロの世界・その1より)
トムソンの実験装置
(インターネットセミナー:ミクロの世界・その1より)