希土類磁石(ネオジム(ネオジウム)磁石、サマコバ磁石)、フェライト磁石、アルニコ磁石、など磁石マグネット製品の特注製作・在庫販売

磁気特性と磁化曲線について
1. 磁気特性と磁化曲線
磁石の磁気特性の表し方とその意味を、磁化曲線を使ってご説明します。
磁石内部での磁束密度をB、加えられる磁場をHとすると、磁石の磁化Jとの間には次のような関係が成立ちます。
B = μ0H+J(CGS単位系 B=H+4πI)
B : 磁束密度[T](G)
H : 磁場[A/m](Oe)
J : 磁化[T](G)
μ0 : 真空の透磁率 4πx10-7[H/m]
上記式は、磁束密度Bは、加えられた磁場Hと磁石の磁化Jの和で表されることを示しています。
図1は磁化曲線または磁気履歴曲線(ヒステリシスループ)と呼ばれているもので、磁束密度、磁化、磁場の関係が良く分かります。また、陰影を施した第2象限の部分は減磁曲線とも呼ばれ、磁石の性能を表す際に良く使われます。
磁化曲線には、J-Hループ(J-H曲線)B-Hループ(B-H曲線)があります。外部磁場によって、磁石の磁化の大きさがどの位変化するかを表しているのがJ-Hループで、外部磁場の大きさに磁石の磁化を加えたトータルの磁束密度を表しているのがB-Hループになります。
磁気特性と磁化曲線
それではまずJ-Hループを検証してみましょう。
初期の着磁の場合は0(ゼロ)⇒a⇒bと変化して、cで飽和に達します。この最初の磁化(着磁)の様子を表したものを初磁化曲線と呼び、cの磁化の大きさを飽和磁化Jsと言います。
次に、c点まで着磁した磁石に対して外部磁場を徐々に減少させて、磁場ゼロのd点になっても磁石の磁化が残っています。この外部磁場ゼロでの磁石の磁化の大きさを残留磁化Jr(4πlr)と呼びます。
さらに、d⇒e⇒fと今度は外部磁場を逆(マイナス)の方向に加えてゆきますと、磁石の磁化の大きさはすぐにはゼロにならないで、踏ん張りながらようやくf点でゼロになります。このように、逆磁場(逆磁界)が加えられてもある程度磁化を保っていることが磁石(硬質磁性材料)の大きな特徴です。このf点での磁場の大きさを真の保磁力Hcjと言います。つまり、保磁力の大きな磁石ほど、逆磁場に強い(減磁しにくい)磁石といえます。
このように、J-Hループの測定は磁石単体あるいは磁石材料の評価をする時に重要となります。
次にB-Hループを考察してみましょう。
B-Hループは、最初の式(B = μ0H + J)のとおり、磁石の磁化Jと加えられた外部磁場Hのトータルの磁束密度を表したもので、磁石だけの磁化の大きさの変化をみているJ-Hループとは外部磁場の分だけ異なってきます。したがって、J-Hループに外部磁場の大きさを同じだけY軸に加えたものがB-Hループだということが言えます。つまり、座標の右に行く(プラスH)ほど磁石の磁化JにHが加えられますから、ループは右肩上がりになり、座標の左に行く(マイナスH)ほど磁石のJからHが引かれますから、ループは左肩下がりになります。
H=0の点の残留磁化(残留磁束密度)BrはJrと同じ値になりますが、B=0の点での保磁力HcbはHcjより小さな値になります。
以上より、B-Hループは磁石とコイルを組み込んだ磁気回路全体の磁束密度と外部磁場の関係を表すものであるため、磁石そのものというより、磁気回路の評価をする際に重要な指標となります。